「中国は非礼」英女王発言に慌てふためく中国

イギリスでエリザベス女王の90歳の誕生日を祝う園遊会が開催されたのですが、その際にイギリスの警察関係者と女王の会話がメディアにリークされ、先の習近平国家主席訪英時における中国側の外交上の「非礼」を批判する内容であったため物議をかもしています
この会話はイギリス王室側がわざとリークさせた可能性があり、中国に迎合するばかりのキャメロン政権に釘を刺す意図があったと見られています


金メッキ剥がれた「英中黄金時代」
(前略)
園遊会での女王の「率直」発言は代表取材のカメラクルーが撮影している前で偶発的に本音を漏らしたとは考えにくく、近年度重なる中国の非礼に腹を据えかね、投資を目的に中国に傾斜するキャメロン政権を牽制するなど意図を持って漏らしたのではないかとの観測が有力だ。
訪英にあたり、中国側は通常のSPなど外交儀礼を遙かに超える多数の警備要員を習主席らに同行させた。英国では国家元首の公式訪問では、米国の大統領を除き随行スタッフに武器の携帯を許可していない。外国の反体制派によるデモも取り締まっていない。 
ところが12日付英タイムズ紙によると、中国側は同行させた多数の警備スタッフ全員に護衛用として銃器の携帯と訪英中に英国で発生した反体制派のデモの取り締まりを求めたという。しかし、ロンドン警視庁など警備当局はいずれも拒否して、このことがトラブルになったという。
さらに中国側は、自らの要求を受け入れなければ、「訪問を打ち切る」と『脅迫』まがいの言葉で迫った。英国警備当局は儀礼を超える中国側の法外な要求に困り果て、女王が「中国側は(調整した)英国の駐中国大使にも非礼だったわね」「とんでもないですね」との発言になったとみられる。
中国の傲慢な姿勢は初めてでない。2014年の李克強首相訪英の際、エリザベス女王との面会を要求し、「応じないなら訪問を取りやめる」と脅し空港式典でも「李首相の飛行機からVIPエリアまでのレッドカーペットが3メートル短い」と注文つけるなど経済発展した大国意識丸出しの尊大な姿勢で英国に臨んだという。
(後略)


李克強首相が訪英の際、女王との面会を要求したのも外交上の非礼でしょう。国家元首たる習近平ならば、国家元首であるイギリスの女王と対等ですが、李首相はキャメロン首相と同格ですから、女王に面会を求めるのは立場をわきまえていないと見なされます
もっとも、今回の習近平訪英時にはチャールズ皇太子が歓迎晩餐会を欠席していますので、イギリス王室もやり返していると言えます
チャールズ皇太子は香港返還式典に女王の名代として出席した際、中国側から数々の嫌がらせを受けた経緯があり、習近平の歓迎晩餐会に出席する気にはなれなかったのも理解できます
イギリスでは習近平訪英に反対する市民、チベット人が中国の人権問題に関して抗議行動を実施する予定でしたが、キャメロン首相は中国側の要求を受け入れこれらのデモに規制をかけ封じ込めています(中国側は今回の訪英に際し、イギリス政府・民間企業との間で7兆円にも達する商談を取りまとめています)
7兆円ものビジネスのためなら、キャメロン首相は喜んで習近平の靴の裏も舐めたに違いありません
中国外交部はひたすら「習近平国家主席の訪英は大成功だった」と繰り返し、外交上の問題はなかったと強調しているのですが、中国政府御用達メディアは女王の発言をリークした英メディアを批判し、「イギリスの方こそ非礼だ」と怒りを爆発させています
その1つ、「環球網」は、「西洋は近代以来、輝かしい文明を築いてきたが」とした上で、今回の報道を “ゴシップ狂”、“ナルシスト”、“野蛮” という言葉を並べ批判。
最後に「しかし、同時に我々は信じている。東方5000年の文明との交流のなかで、彼らが進歩してくれることを」と締めくくっています。この “東方” とはもちろん中国のことを指します
こうした中国メディアの憤慨ぶりこそ、中国政府の本音なのでしょう
日本でも2009年の民主党政権時代、党の副主席にすぎなかった習近平が来日し、外交上の関連を破って天皇陛下との会見を要求した件がありました。国家主席でもなく首相でもない、共産党の副主席という身分の習近平が天皇陛下と会見するなどあり得ない話ですが、当時の民主党小沢一郎幹事長がゴリ押しして会見を実現させた、というのが実際です

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