オバマ大統領の広島訪問を危ぶむ中国・韓国(1)

5月末に予定されている伊勢志摩サミットに併せ、アメリカのオバマ大統領が広島訪問を検討している、と報じられています
先にケリー国務長官が広島を訪問し、「オバマ大統領もここへ来るべきだ」と発言しており、現実味を帯びています
しかし、オバマ大統領の広島訪問は歴史を歪める結果になると危惧し、阻止すべく牽制しているのが中国と韓国です
この問題について語ると長くなりますので、数回に分けて書きますまずは現下の状況について触れた産経新聞の記事から引用します


中韓「絶対拒否」のオバマ氏広島訪問…理由は「日本が韓国・中国から許しを受けていないから」
(前略)
米国メディアは、ホワイトハウスがオバマ氏の広島訪問を検討していることを伝えており、ガテマラー米国務次官は3月22日、その可能性について「ホワイトハウスが検討している。(結果を)推測するようなことはしない」と述べ、「最終的に大統領が決めることだ」と語った。
米国世論に影響を与えるニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの両紙は4月に入ってオバマ氏の広島訪問を求める社説を掲げている。
米国の現役閣僚として初めて広島市を訪問したケリー国務長官は4月11日に平和記念公園を訪ねて原爆ドームを視察した。ケリー氏が記者会見で「大統領もここにきてほしい」と語ったことで、オバマ氏の広島訪問は現実味を帯びつつあるが、警戒感を募らせているのが中国と韓国だ。
習近平国家主席ら中国共産党指導部は、中国は先の大戦の戦勝国であり、米国などほかの戦勝国とともに国際社会で中心的な役割を担ってきたという立場だ。
習氏は2015年9月3日に北京で行われた抗日戦争勝利70年を記念する式典で「70年前の今日、中国人民は14年の長きにわたる、想像を絶する艱難辛苦に満ちた闘争を経て、抗日戦争の偉大な勝利を手にした。世界の反ファシズム戦争の完全な勝利を宣言し、平和の陽光が再び大地をあまねく照らした」と演説した。
日本と正面切って戦ったのは国民党だが…
これまで大規模な軍事パレードは中華人民共和国の建国記念日である10月1日に行われており、中国国内向けの色彩が濃かった。しかし、戦後70年の節目となった2015年は、日本が東京湾上の米戦艦ミズーリで降伏文書に調印した翌日の9月3日をわざわざ選んで実施した。
つまり、中国共産党こそが「日本軍国主義」や「ファシズム」に対する戦いを主導したことを内外に強くアピールする狙いがあった。中国大使を務めた丹羽宇一郎・元伊藤忠商事会長は自らの著書「中国の大問題」で、中国共産党の正当性の根拠の一つとして「抗日戦での勝利」を挙げている。
(中略)
安倍晋三首相は2015年4月、日本の首相として初めて米連邦議会上下両院の合同会議で行った演説で、先の大戦に対する「痛切な反省」を表明する一方、日米同盟を「希望の同盟」と位置づけ、両国が協力関係をさらに深め、国際社会に貢献していくよう呼びかけた。安倍首相の演説からほぼ1年後となる伊勢志摩サミットにあわせて、オバマ氏の広島訪問が実現すれば、日米和解の印象は国際社会でより強まる。
こうしてみると、南京事件や慰安婦問題などで「歴史戦」を日本に仕掛けてきた中国と韓国双方に共通している「オバマ氏の広島訪問」に関する視点は、かつて太平洋を主戦場に死闘を繰り広げた日米の和解がより深化してしまい、歴史問題をてこに展開してきた「日本たたき」が通用しなくなってしまうという懸念だといえそうだ。


本記事は産経新聞のウェッブサイトでも5ページに及ぶ長文なので、一部だけを引用しました。全文を読みたい方は上記のウェッブサイトへアクセス願います
もちろん中国や韓国にそれぞれ思惑はあるのでしょうが、「核なき世界」を訴えて大統領に就任したオバマとしては、広島や長崎への訪問は是非とも実現させたいところでしょう。実際、オバマ大統領は核軍縮に関して具体的な成果を挙げたとは言えないのであり、看板倒れのまま任期終了が近づいています
せいぜいイランの核開発を牽制し、北朝鮮の核開発を非難した程度です。そして北朝鮮は核兵器開発を着々と進めつつあり、再び地下核実験を行う気配を示しているわけで、見栄っ張りな金正雲ならば伊勢志摩サミット開催の日にでもこれを強行すると思われます
ただ、日本がオバマ大統領の広島訪問をどう受け止めるか、という部分も不明です
一部には、「アメリカ大統領がヒロシマ・ナガサキを訪問し、被爆者に直接謝罪するべきだ」との声があります
ですが、アメリカ政府は「原爆投下によって日本は降伏時期を早めたのであり、戦争終結を早めることでより被害を減らす結果になった」と原爆使用を肯定する立場を貫いており、被爆者に謝罪しようとの考えはありません
日本政府はケリー国務長官に対し、「(原爆使用への)謝罪は求めない」と表明しています。ですからオバマ大統領がアメリカの国是をひっくり返し、被爆者に謝罪する結果にはならないでしょう
それを日本の国民がどう受け止めるか、が問われます
広島・長崎をわざわざカタカナやローマ字で表記したがる連中は、被爆者に謝罪しないオバマ大統領に反発し、沖縄基地問題と絡めてアメリカ批判を繰り広げるものと予想されます
アメリカが依然として世界一の核兵器保有国であり、自ら核兵器の廃棄を宣言したわけでもなく、今後も核兵器を保持し続ける構えなのですから、広島を訪問したくらいで核軍縮を推し進めたとは言えないのです
ですが、半数以上の日本国民はオバマ大統領の広島訪問を肯定的に受け止めるでしょう。たとえ被爆者への直接謝罪はなくとも、従来のアメリカ政府の立場からすれば、考えられない事態です
結果として、日米の間にある溝を埋める効果をもたらすものと期待されます(日本の核兵器廃絶運動があまりに情緒に偏り、「日本は唯一の被爆国だ」という立場から被爆者追悼運動と化しているのは問題ですが)
さて、こうした歴史的な和解を推し進めようとする日米政府の思惑とは真逆なのが、中国と韓国です。次回は韓国の思惑について言及します

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