今市女児殺害事件 犯行を示唆する手紙
栃木県今市で、当時小学1年生だった吉田有希ちゃんをナイフで滅多刺しにして殺害し、遺棄した容疑で逮捕された勝又拓哉被告の公判が始まっています
逮捕直後の取調べで犯行を仄めかす発言をしていた勝又被告は、その後否認に転じており、宇都宮地方裁判所での公判では無罪を主張して争う姿勢でいると報じられています
検察は勝又被告が母親宛に出した手紙を取り上げ、事件への関与を認めたものとして立件する構えです
平成17年12月に起きた栃木県今市市(現日光市)の小学1年女児殺害事件で、殺人罪に問われた勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判第3回公判が2日、宇都宮地裁(松原里美裁判長)であり、勝又被告の母親が証人として出廷、「人間性を知っており、(殺人は)やっていないと信じている」と証言した。
母親は検察、弁護側双方の証人として出廷。憮然(ぶぜん)とした表情を変えなかった勝又被告は、母親の姿を確認するとわなわなと震え始め、涙をためた目は真っ赤になった。
検察側は、事件を起こしたことを謝罪する母親に宛てた手紙を提示した。
文中の「自分で引き起こした事件」との記述について、検察側は、偽ブランド品をめぐる商標法違反で逮捕された事件を指すのか女児殺害事件を指すのか問いただした。母親は「偽ブランド事件の事だ。女児殺害事件を指すと思ったことは一度もない」と証言した。
弁護側は、勝又被告が偽ブランド品を仕入れていたことから、「海外に行き、独断で仕入れた経緯で発覚したことから『引き起こした」と記述したと思うか」と問われると、母親は「はい」と答えた。
閉廷後、宇都宮地検の金子達也次席検事は記者団の取材に対し、「偽ブランドの話であれば、(商標法違反で)一緒に捕まった母親に、こんな手紙を書くのかなという違和感はある」と述べた。
この日は、女児の遺体に付着していた動物の毛を鑑定した大学教授が検察側の証人として出廷。教授は「遺体に付着していた毛は猫の毛であり、勝又被告の飼っていた猫と同一のグループのもの」と証言。弁護側は、同じグループの猫でも被告が飼っていた猫と同一とは証明できないと反論しており、この日は「猫は生涯で数十匹の子を産む。同じDNA型を持つ母猫の子孫はたくさんいる」と主張した。
◇
2日の公判で検察側が取り上げた勝又拓哉被告の反省文(一部抜粋)は以下の通り。
「今回自分で引き起こした事件、お母さんやみんなに迷惑をかけてしまい、本当にごめんなさい。僕がしたことは、世間やマスコミなどは、お母さんの育て方が悪いとか言うと思うけど、でも、お母さんは何一つ悪くありません。お母さんはしっかりと僕を育てました。僕が自分の意思で、自分で間違った選択をしてしまったのです。本当にごめんなさい。こんな親不孝な息子で本当にごめんなさい。もう息子じゃないと思われてても、構いません。あんなことをしてしまって、本当にごめんなさい。こんな親不孝な息子でも、お母さんの残りの人生を大事に過ごしてほしいです。お体を大事に。」
(産経新聞の記事から引用)
偽ブランド品販売という商標法違反事件ならば、実刑判決を受けても懲役3年から4年くらいの服役期間であり、「今生の別れ」のような手紙を書く理由には当たりません
手紙の文面を見る限り、これは吉田有希ちゃん殺害を認めて無期懲役か死刑になるかもしれないと思い詰めた勝又被告が、母親に別れを告げるために書いたものと推認されます
犯行に使われた凶器も特定されず目撃者もいない事件だけに、検察はこうして情況証拠を積み上げて、勝又被告以外に犯人はいないのだとの主張を展開するのでしょう
一昔前なら、「情況証拠だけでは有罪にできない」と言われたものでした。しかし最近は裁判所の判断も変化し、数々の状況証拠から合理的に考えて被告以外の犯行はありえないと判断できるのであれば、有罪の決定を下すケースが見られるようになってきました
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