組み体操事故が道徳の教材 批判を受け削除
学校の運動会で行われる組み体操で多くの負傷事故は発生している事実がありながら、これを止めようという教育現場からの意見が表立って現れないのが不思議です。学校関係者がなぜここまで組み体操に執着するのでしょうか?
死亡事故でも起きないと、組み体操への偏愛は改まらないのかもしれません
広島県では、教師が作成した「組み体操事故で悩んでいるこどもたちが、話し合いによってこれを解決する」との教材が道徳の授業向けに使われていたが、批判が相次いだため教育委員会のホームページから削除した、と報じられています
削除したのは、2002年に県内の小学校教諭が自作した小学高学年向け読書教材。翌年冊子化されて県内の小学校に配布され、県教委のホームページ上でも公開された。
教材は小学6年の児童「つよし」が運動会前日の組み体操の練習中に転落し、骨折する場面から始まる。その後、同級生の「わたる」が最初にバランスを崩したとつよしに明かす。つよしの母親がわたるに「自分を責めず、つよしの分まで頑張って」と声をかけ、運動会に参加できなくなってふて腐れるつよしにも「一番つらい思いをしているのは、わたる君だと思うよ」と呼びかける内容だ。
県教委は「謙虚な心を持ち、自分と異なる意見や立場を大切にしようとする心を育てるもの」と教材の狙いを説明。教材を活用した学校からは「運動会の前に学習したため、真剣に取り組めた」など肯定的な意見が複数寄せられていたという。
しかし最近、全国の小中学校で組み体操による事故が起きていることが問題化。
先月になって急きょ、文中に教師や学校が登場せず、事故の原因も明らかにされないことに対し、識者らから疑問の声が上がり始めた。
小中学生の組み体操の都道府県別負傷率を調べている大阪経済大の西山豊教授(数学)は先月5日、「学校の安全対策の不備で事故が起こる現実を踏まえていない」などとして県教委に削除を要請。さらに同26日、首都大学東京の木村草太准教授(憲法)もネット上のコラムで批判し、他にも電話やメールで批判的な意見が相次いだため、県教委は同28日、教育長らと協議し、削除したという。
西山教授によると、2012、13年度の2年間で、広島県の小中学生544人が組み体操で負傷し、うち116人が骨折などの重傷だったといい、「教材は現実を無視して事故を子どもに解決させるという大人の残酷さを示している」と指摘。木村准教授は「組み体操中の骨折事故を道徳の教材として扱うこと自体が問題で、昔だから許されたという話ではない」と話す。県教委の担当者は「10年以上前に作られた教材が急に批判され、困惑している」と吐露した。
(読売新聞の記事から引用)
記事からは広島県教育委員会事務局の担当者の不満が伝わってきます。「長年続けてきた組み体操を、なぜいまになって批判されるのか?」との思いがあるのでしょう
しかし、2012年と13年の2年間に、広島県だけで544人の児童生徒が組み体操で負傷しているとの事実に、教育委員会は何ら問題意識を抱いていないのは明らかです
544人が負傷している事実より、組み体操を批判された方が教育委員会にとってはショックだったのかもしれません
なおかつ、現場で利用されている道徳教材にケチを付けられたのも不満なのでしょう
ですが問題はそこではなく、事故を招く危険のある組み体操を当たり前のように毎年実施し、負傷者が出ても意に介さない教育現場や教育委員会の「危機管理意識の欠如」こそが異常なのです
これでは死亡事故が起きても、「組み体操を毎年やってきたが、児童が死んだのは初めて。運が悪かった」で片付けてしまいそうです
この「危機管理意識の欠如」をどうにかしなければなりません
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