中国メディア「大量の漢文書籍を保存してきた日本」を評価
中国共産党は「我々中国は日本から侵略を受けた被害者である」との立場を強調するのが常です。しかし、中国の社会やメディアが、そうした政治的プロパガンダに支配されている、と言い切るのは近視眼的な見方に過ぎるのかもしれません
サーチナの配信記事では、「都市快報」が12月23日付の報道で中国の古い書籍が大量に日本に渡り保存されている事実を伝えた、と紹介されています
これが韓国なら、「日本人が我々の文化財を奪ったニダ。取り返さなければならい」と書くところです。中国メディアにはまだまだ冷静で客観的な報道ができる余地がある、と見るべきなのでしょう
(前略)
記事はまず、日本は遣唐使の留学生が、大量の書籍を日本に持ち帰ったと紹介。貴人や寺院が適切に保存したため、中国ではすでに失われた書物が日本では大量に残ったと紹介した。
日本でも多くの場合図書は私蔵されてきたので、多くの人の目に触れることはなかったと指摘。しかし明治維新で「西洋文明一辺倒」の状況になると、中国などの古書を売って西洋の書物を入手しようとする例が増えたと紹介。
そのため、中国の文化人には日本に残っていた書物を購入しようという動きが発生した。代表的な人物としては、金石の専門家で外交官として1870年に来日した楊守敬がいた。楊守敬は六朝時代、さらに唐から清朝までに世に出た古書3万巻を中国に持ち帰った。中国では失われた古書も多く、例えば唐代初期に日本に渡った尚書(書経)の拓本もあるという。
しかし、日本で明治初期の「西洋文明一辺倒」の熱がさめると、日本人は再び中国の歴史的書物を集め始めた。1907年には、清朝末期の四大蔵書化として知られた陸心源が収集した15万巻がすべて、日本人に売られた。
すると中国人学者で、日本を訪れて古書を求める動きが改めて盛んになったという。
張元済は1928年に日本を訪問。日本側は特別な便宜を図り、張元済が皇室の図書寮文庫に立ち入ることも認めた。
さらに、陸心源の蔵書を補完していた静嘉堂文庫も張元済を受け入れた。張元済は3カ月にわたり、昼間は図書を選び、夜は筆記作業を行った。静嘉堂文庫側はさらに、書面を撮影した大量の写真も提供した。
張元済は中華民国時代に設立された出版社の商務印書館を50年間にわたり経営した。商務印書館は当初、実業書を出版したが、その後は古書の復刻版を多く出版するなどで、文化面で大きく貢献することになった。張元済の日本における活動は、中国で古書を改めて刊行する上で、大きな意味をもったという。
記事の中にある静嘉堂文庫は三菱の創業者である岩崎家のコレクションを収蔵した私立の図書館・美術館です。国宝指定の曜変天目茶碗を収蔵していることで有名です
また宮内庁書陵部は明治17年、中世以来絶えていた図書寮を書陵部として復興したもので、天皇家の蔵書の他、名家の献上本が加わり、さらに明治24年に内閣文庫から移管された3万冊も併せ現在に至っています
こうして日本に持ち込まれ、保存されている書籍は膨大な数になるのですが、一部にまだ私蔵されているものがあるものの、多くは目録が作られ整理が進んでいます
それゆえ、中国の研究者も日本で調査・研究ができるのであり、文化財の保存や継承という観点で評価されるのは当然、と言えるのかもしれません
何しろ中国では、毛沢東のけしかけた文化大革命の名のもとに、貴重な書籍も片っ端から燃やされてしまったのですから。もし静嘉堂文庫のような財閥のコレクションを収めた図書館・美術館が中国にあったなら、まっさきに破壊されコレクションのほとんどは燃やされてしまったに違いありません
そうした中国共産党自身の蛮行には触れず、戦乱(西欧や日本の仕掛けた戦争によって貴重な書籍が失われた)と片付けているのは愚劣なごまかしですが
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