ワタミ過労自殺問題 和解が成立
ワタミでの過労自殺問題を巡る裁判で、遺族側と会社が和解したと報道されています。2つの新聞報道を御覧ください
ワタミグループの居酒屋「和民」に勤めていた娘を過労自殺で失った遺族が、ワタミや当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員(自民党)らに損害賠償を求めた裁判が8日、東京地裁で和解した。ワタミや渡辺氏らは法的責任を認め、連帯して1億3千万円超を支払う。
遺族は、渡辺氏の経営理念が過酷な長時間労働を強いるワタミの体制をつくったとして、会社だけでなく渡辺氏個人にも責任があると主張。渡辺氏は当初「道義的責任はあるが、法的責任はない」と争う姿勢を示していたが、最終的に責任を認めた。
この日、遺族らが会見して明らかにした。この事件もきっかけとなり、ワタミは「ブラック企業」として強い批判を浴びた。渡辺氏は朝日新聞の取材に「ブラック企業ではない」と反論していた。
(朝日新聞の記事から引用)
居酒屋チェーンを経営するワタミ子会社の新入社員だった森美菜さん=当時(26)=が平成20年に過労自殺したのは会社の責任だとして、両親が会社側に損害賠償を求めて東京地裁に起こした訴訟は8日、ワタミ側が約1億3千万円を支払い、謝罪することで和解が成立した。20年以降に入社した全社員に未払いの残業代を返還させ、労働時間を適正に管理するなどの再発防止策も認めさせた。
訴状によると、森さんは20年4月、ワタミフードサービス(現ワタミ)に入社。神奈川県内の店舗で午後から早朝にかけて長時間勤務を行い、同年6月に自殺した。残業は月140時間以上で、24年に労災と認定された。ワタミ側は当初、安全配慮義務違反はなかったと請求棄却を求めたが、労働者を酷使する「ブラック企業」との批判が広がる中、一転して責任を認め、謝罪した。
(産経新聞の記事から引用)
民事訴訟をこのまま継続しても、ワタミ側に勝ち目はないと判断したのでしょう。加えて最近の業績悪化という事情もあり、「ブラック企業」とのイメージが足枷になっていると受け止め早急に決着させるべきだ、と方針を転換(従来はとことん闘う姿勢でした)したものと思われます
損害賠償の金額はともかく、「道義的責任はあるが法的責任はない」と言い放っていた渡邉美樹元会長の考えを転換させたのは大きな成果でしょう
そして、サービス残業を常としていた会社の労務管理を改善させ、全社員に過去の残業代支払いを約束させてもいます(実際に社員が過去の残業代を請求するかどうかは不明ですが)
森美菜さんの自殺から和解成立まで随分と時間がかかりました。この間、ワタミグループの企業イメージ悪化と経営不振、ブラック企業に対して国民が厳しい目を向けるようになったという社会環境の変化が遺族側を後押ししたものと考えられます
独善的な理念で社員を使い潰すような企業経営者がヒーローのように扱われ、参議院議員選挙で当選してしまうという異常な事態が、これで少しは改善されたものと思いたいところです
しかし、別のメディアの記事では、ワタミグループの経営悪化について渡邉美樹元会長が、「自分がそのまま経営していたら、こうはならなかった」と発言しており、根幹の部分ではまったく反省していないのは明らかです
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