今市女児殺害事件　公判前の争点整理で紛糾: 夾竹桃日記

2015年12月02日

今市女児殺害事件　公判前の争点整理で紛糾

事件を考える ニュース

２００５年に栃木県今市市の小学生吉田有希ちゃんが下校時に連れ去られ、山の中で惨殺されているのが発見された事件から１０年の歳月が流れました

犯人として台湾出身の勝又拓哉被告が逮捕されていますが、まだ裁判は始まっていません

毎日新聞が公判準備手続きについて記事を掲載していますので、引用します

栃木県日光市（旧今市市）の市立大沢小１年、吉田有希ちゃん（当時７歳）が２００５年に連れ去られ殺害された事件は１日、発生から１０年を迎える。昨年６月に容疑者が逮捕、起訴され事件は急展開。

しかし供述の変遷などで公判前整理手続きが長引き、初公判のめどは立たない。

関係者は「事実を明らかにしてもらい、早く墓前に報告したい」と真相解明を願う。

（中略）

殺人罪で起訴された同県鹿沼市の無職、勝又拓哉被告（３３）の公判は裁判員裁判となる。争点を絞り込む公判前整理手続きが長引き、捜査関係者によると、勝又被告の供述が変遷したことなどから証拠の整理に時間がかかり、手続き終了の見通しは立っていない。

起訴状によると、勝又被告は０５年１２月１日に有希ちゃんを連れ去り、茨城県常陸大宮市で有希ちゃんの胸をナイフで多数回刺し、失血死させたとされる。

勝又被告は別事件で勾留中、関与をほのめかしたことなどから栃木、茨城両県警合同捜査本部は逮捕に踏み切った。しかし動機や経緯に不明な点も多く、凶器のナイフが発見されないなど物証に乏しい。栃木から茨城へ向かう道路沿いの複数の防犯カメラに被告の車と似た車両が記録されており、検察側は録音・録画された取り調べの様子とともに立証の柱とする方針だ。

上記の記事からでは、勝又被告がどのように供述を変えたのか不明です

しかし、公判手続きがここまで長引いているとすれば、吉田有希ちゃん殺害をほのめかした当初の供述を翻し、全面否認へ転じているものと推測されます

これで裁判の争点は大きく変更を余儀なくされ、勝又被告の犯行を示す検察側の立証の大部分が争点として浮上したのでしょう

勝又被告は自身の犯行を裏付けるだけの物証が乏しいところに目をつけ、否認すれば無罪になるかもしれないと期待しているのでしょうか？

逮捕された殺人犯が弁護人に繰り返し問うのが、「この事件でどれくらいの刑罰になるのか？」というものです。死刑になるのか、無期懲役なのか。あるいはどうすれば短い刑期で済ませられるのか、繰り返し尋ねます

勝又被告は、あるいは吉田有希ちゃんを連れ去ったところまでは認めたものの、殺害はしていない等々、罪の軽減を求め保身に走っている可能性もあります

もっとも、拘束した女児の体を執拗に刃物で刺し惨殺しているのですから、たとえ勝又被告が「殺意はなかった」などと供述しても傷害致死罪が適用されるはずもなく、殺人罪に問われるのは間違いありません

殺害を勝又被告が認めていれば裁判の争点整理は大幅に簡略化され、あとは台湾から帰化した後、日本の社会に馴染めず苦労をした点などを挙げ、情状酌量の余地を裁判官・裁判員に問う形になっていたと考えられます

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