韓国フェリー沈没事故 船長に殺人罪で無期懲役判決
浜名湖でのボート事故の判決に言及したところで、もう1件、気になっていた事故の判決について取り上げます
昨年の4月、韓国でフェリーが沈没し、修学旅行中に高校生を含む304人が死亡する事故がありました。乗客の安全を優先すべき船長が真っ先に逃げ出すという醜態をさらし、逮捕されています
この船長に対する刑事裁判が続いていたのですが、ようやく最高裁で判決が出ましたので朝日新聞の記事を引用、紹介します
昨年4月に起きた韓国の旅客船セウォル号沈没事故で、船長のイ・ジュンソク被告(70)に対する上告審の判決公判が12日、大法院(最高裁)であった。大法院は、乗客を救助せず脱出したのは殺人罪に当たるとして、無期懲役を言い渡した控訴審判決を支持。被告の上告を退け、控訴審判決が確定した。
事故では修学旅行中の高校生ら計304人が死亡または行方不明になり、乗客を置き去りにして逃げた船長ら乗組員の対応が厳しく批判された。大事故の責任者が殺人罪に問われるのは韓国でも異例。殺人罪の適用が争点となり、一審は適用せず、控訴審は殺人罪と認める判断をしていた。
大法院は、イ被告が乗客らに対して船から脱出を促す船内放送を流すよう指示していなかったと認定。船長は船の総責任者であり、乗客に脱出するよう指示していれば、大勢を救うことができたと指摘。にもかかわらず、それをしなかったのは乗客を水死させた「不作為による殺人」にあたると判断した。さらに、イ被告は自分が救助された後も船内の状況を海洋警察当局などに説明しなかったなどと批判した。
韓国の裁判は三審制。昨年11月の一審判決は、イ被告が乗客に対して「脱出命令を出していた」と認定し、乗客が死んでも構わないという「未必の故意」が認められないとして殺人罪は適用せず、遺棄致死罪などで懲役36年を言い渡した。
今年4月の控訴審判決では一転、乗客に「脱出命令を出していなかった」などとして殺人罪を認め、無期懲役としていた。
韓国の裁判は世情に左右されたり、政権の意向に左右されます。司法の独立性など建前であり、今回の判決も世間の怒りに対するガス抜きの意味で「殺人罪」を適用したのではないか、と思ってしまいます
何しろ、これまで「未必の故意」を認めない判決を積み重ねてきたのに、今回だけそれを認めるのは異例であり、異常です
乗客の安全を確保すべき船長以下、船員が真っ先に逃げ出していたと発覚して世間の顰蹙を買い、救助に当たるべき海洋警察(日本の海上保安庁に該当)が何もせず乗客を見殺しにしたとして批判を浴びた事故でした
さらに船会社のオーナーと家族が刑事、民事の責任から逃れるため、身を隠すというテレビドラマのような展開になり、日本のワイドショーでも取り上げられました
船長の無期懲役刑が確定しても、何も解決していない気がします
沈んだ船はまだ引き揚げられないままです。朴大統領は引き揚げると国民に約束していますが、これも当てにはなりません(引き揚げにかかる費用を誰が負担するかで揉めています)
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