「日本の武器開発は憲法違反」と書く毎日新聞

先の安全保障関連法案を巡って、日本の憲法学者と呼ばれる人たちの耄碌した思考を指摘したところです
今度は毎日新聞が、「日本は死の商人になるべきではない」との主張を展開する特集を組んでいますので取り上げます。大変長い記事なので、一部分だけを引用します。関心のある方は毎日新聞のウェッブサイトで全文を閲覧願います


昨年の「武器輸出三原則」撤廃と「防衛装備移転三原則(新三原則)」の閣議決定に伴い、武器輸出は「原則禁止」から「原則解禁」に大転換しており、これでアベノミクスの成長戦略に武器輸出を位置づける国の体制が組織上、整った。平和国家の根本が揺らいでいる。
(中略)
「米国は、防衛産業においても対日優位を手放すつもりはない」と指摘するのは、九条科学者の会事務局長の本田浩邦独協大教授(米国経済論)だ。米国の狙いとして(1)日本に一定の利益を認めてライセンス生産や共同開発に参加させつつ、日本の強みを最大限引き出す(2)膨大になる軍需製品の開発を日本に負担させ、最新鋭の武器は米国が中心に開発して国際的軍事優位を維持(3)もはや米国企業が作らない古い製品を日本にライセンス生産させ、米国の兵器システムに組み込んで世界で売りさばく−−の3点を挙げる。
「日本が輸出を推進している原発がそうであるように、米国は防衛装備品でもパテント(特許)でもうける仕組みを固めようとしている」。本田教授の分析だ。
青井未帆学習院大大学院教授(憲法学)も「米国との共同開発に参加しても、米国は国益を損なうような最先端技術を開示することはあり得ない。むしろ大きな下請けにされる危険が高い」と懸念する一方、こうも訴える。「武器を売ってもうけるというのは、武器が使われることで利益を得ることを意味し、日本の防衛産業が誇りにしてきた意味での『防衛力の一翼を担う』という考え方とは全く違う。武器輸出は、経済合理性よりも、日本が憲法9条の下で平和国家として歩んできた価値を基準に考えるべきではないでしょうか」
前田さんは「日本の企業が『死の商人』として非難される事態が起きないとも限らない」と危惧する。「海外の戦争や紛争で日本の防衛装備が使われるようになれば、企業は空前の収益を上げられるかもしれませんが、平和で安全な社会を求める国内外の人たちに対して、良い企業文化なのだと胸を張れることなのか」
日本で製造された部品が組み込まれたミサイルで人が亡くなることを、私たちはどう納得すればよいのだろうか。
特集ワイド:続報真相 戦争はもうかりますか?


もうどこから突っ込んだらよいのか、頭を抱えたくなる記事です
アメリカが武器を含む工業製品に関して、パテント(特許)で利益を得る方針を採用していること自体、何ら批判される事由はありません
アメリカだけでなく、北欧の国でもロシアでも同じです
日本がアメリカの特許を使用して軍事関連の工業製品を生産するのが、それほどまでに非道な行為なのでしょうか?
その理由として登場するのがまたしても日本国憲法です。しかし、日本国憲法には日本の武器生産や武器輸出を禁止する規定など存在しません
武器輸出を禁じた三原則はあくまでも政府の政策として継承されてきたもので、この原則を改める(政策を変更する)決定そのものが憲法に違反するわけではないのです
上記の記事の中には日本の防衛産業がどれくらい儲けているのかを示したいのか、表が添付されています。しかし、これは防衛省との契約実績を示した表であり、利益の額を示すものではありません。さらに伊藤忠やコスモ石油など、軽油や重油を納入している業者まで「防衛産業」に含めています
日本企業が精製したガゾリンを在日米軍に販売しただけでも、「戦争に協力した」と批判され、「死の商人」と蔑まれなければならないのでしょうか?
これなら自衛隊に米を販売した農家までも、「憲法違反だ」とか「死の商人」だと憲法学者の先生方は目の敵にしそうです
そして引用部分の末文にある「日本で製造された部品が組み込まれたミサイルで人が亡くなることを、私たちはどう納得すればよいのだろうか」との愚問には、ただ苦笑するしかありません
半導体が何に使用されるのか、購入する企業や商社にいちいち使途を確認した上で販売しているわけではないのです。船舶用の厚板鋼板が軍の艦艇に使用される可能性もあります。トヨタの四輪駆動車が中東ではイスラム武装勢力の車両として使われている事実もあります
だからといってトヨタが武器として四輪駆動車を輸出しているわけもなく、トヨタの責任を問うのは馬鹿げています
記事を書いた毎日新聞の記者は本気で胸を痛めているのでしょうか?
包丁を使った殺人事件が起きると、「刃物を取り締まれ」とか「販売を止めろ」と言い出す人とそっくりです(皮肉です)
包丁は包丁として作られ、包丁であることをやめたりはできません。問題は包丁で犯罪を起こす人間の側にあり、包丁そのものに罪はないのです
半導体は半導体として作られ、半導体であるのをやめたりはできません。問題は半導体を組み込んだ武器を使用する人間にあるわけです。戦争を起こす人間、テロを起こす人間、武器を横流しする人間を問題視するべきでしょう
日本だけが軍隊を持たない非武装宣言をし、武器の生産にも関与せず、平和国家を自称したとしても、それで世界が平和になったりはしないのであり、もっと現実を直視する必要があります

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