フォルクスワーゲン不正問題 原因と責任はどうなったか?

フォルクスワーゲンがディーゼル車のプログラムに細工をし、環境基準の規制を免れていた問題の続報を取り上げます
アメリカ議会とイギリスの議会に、それぞれフォルクスワーゲンの現地法人の社長が呼ばれ、証言を行っています。しかし、ドイツ本国では辞任したウィンターコルン前会長兼最高経営責任者が議会に呼ばれて糾弾されたり、司法当局の取調べを受けるような事態にはなっていません
ドイツにおけるフォルクスワーゲンの存在、ウィンターコルン前会長兼最高経営責任者の存在がいかに大きいかを物語っているかのようです
さらには、「アメリカ自動車業界を守るため、アメリカ政府・議会はフォルクスワーゲンを目の敵にしている」というドイツの国民感情も影響しているのでしょう


<VW不正>4万円?低減装置ケチって世界的リコールの嵐
「尿素水溶液噴射装置の不採用が原因」とドイツ各紙
7日の監査役会では、不正問題に関するフォルクスワーゲン内部調査の中間報告も俎上(そじょう)に載る見通しだ。調査の核心は、「なぜ不正に手を染めたのか」「どのレベルの指示で不正が行われたか」「どこまでの幹部が不正を知っていたか」だ。
独大衆紙ビルト、フランクフルター・アルゲマイネ、南ドイツ新聞電子版など、ドイツ各紙が中間報告の内容を特ダネとして断片的に報じている。その中で、とくに核心に迫った部分を紹介する。
各紙の報道によると、フォルクスワーゲンは2005年ごろ、小排気量のディーゼルエンジン車の開発を目指していた。開発を担当した技術者は、米国の厳しい窒素酸化物(NOx)排出基準に適合するために、「尿素水溶液」の噴射が必要だと指摘していた。
尿素を使ったNOxの削減は決して特異な技術ではない。尿素水を分解してアンモニアに変え、そのアンモニアとNOxを還元反応させて窒素と水にするものだ。
尿素水のタンクや噴射装置が必要なため、比較的大型なディーゼル車がこの方式を採用しているという。
解任された開発担当幹部が違法ソフト搭載指示か
ところが、この装置を追加すると、1台あたりコストが300ユーロ(約4万円)かかることがわかった。技術者は数カ月間検討したが、コストの問題を解決できず、尿素水溶液の噴射は採用されなかったという。
結局08年、エンジンのソフトウエアのプログラムを変更し、実際の走行時に排ガス基準を超えていても、試験時にはフル稼働して基準を満たすように見せかける不正を行ったという。
ビルト紙によると、問題発覚後に解任された当時の開発担当幹部の指示で違法ソフトが組み込まれたという。
こうした不正の背景で、各紙が報じているのは、不正発覚で9月23日に引責辞任したウィンターコルン前会長兼最高経営責任者(CEO)の「帝王ぶり」である。前会長は、フォルクスワーゲンをトヨタ自動車と世界トップを争うまでに急成長させた実力者だが、常に「売上高」と「利益」を最大限追求し、それを妨げるものは排除する姿勢で、社内では冷静な議論ができない状況だったという。中間報告が、フォルクスワーゲンのゆがんだ企業風土にどこまで言及するかも一つの焦点となる。
(毎日新聞の記事から引用)


フォルクスワーゲンが4万円程度の尿素水溶液噴射装置を採用しなかった理由・事情が理解できません。ウィンターコルン会長がコスト削減に執着し、車体価格を抑えて1台でも多く売ろうとしていたなら、今回の不正はウィンターコルン会長の指示で行われたように思えるのですが
自動車にカーナビゲーションやその他のオプションを加えると、10万円やそこら購入価格が高くなるのは日本では当たり前です。4万円の尿素水溶液噴射装置を採用して車両価格が上昇すると、フォルクスワーゲンの車は売れなくなると関係者は思ったのでしょうか?
この辺りの事情を別の報道では、フォルクスワーゲンの開発担当取締役が排ガス浄化装置(尿素水溶液噴射装置)を採用するとコストが嵩むため、ソフトウェアによる偽装工作を選んだと説明しています


独紙ビルト(日曜版)も、複数のエンジニアが内部調査に対し、VW傘下アウディのハッケンベルク開発担当取締役が不正を知っていたなどと証言したと報じた。証言によると、排ガス浄化装置を不正に操作するソフトを車両に初搭載したのは2008年。ハッケンベルク氏は07~13年にグループの主力乗用車部門「VW」の開発担当取締役を務め、不正発覚後に停職となっている。
ソフトは、05年に開発が始まったディーゼルエンジン「EA189」を使用する車両に搭載。ビルトによれば、排ガス規制の順守とコスト抑制を両立させる手段が他になく、開発が中止になる恐れがあった。このため同エンジン量産開始直前の08年にソフト搭載が決まった。ソフト供給元は、独自動車部品大手のボッシュとコンチネンタル。
(時事通信社の記事より引用)


フォルクスワーゲンはすべてをハッケンベルク開発担当取締役の責任にし、押し切るつもりなのかもしれません。問題はそれでアメリカが納得するかどうか、です

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