厚生省マイナンバー汚職を考える1 異色の官僚

マイナンバー制の開始にあたり、この事業を担当していた厚生労働省の官僚が収賄容疑で逮捕されました。あれだけ大騒ぎをして導入した住基カードがほとんど利用もされないまま、税金の無駄遣いで終わったというのに、また新たな制度を導入しようするのですから、そのでたらめさにはうんざりします
さらに、この新制度にかこつけ収賄で私腹を肥やす官僚まで現れ、スタート前かケチがついた格好です


厚生労働省が発注したマイナンバー制度関連事業などを巡る汚職事件で、収賄容疑で逮捕された同省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45)=さいたま市大宮区三橋1=が、週の半分程度しか厚労省に出勤していなかったことが、同省などへの取材でわかった。警視庁捜査2課は、中安容疑者が情報技術(IT)分野で高い専門性を持っていたため職場で強い裁量を持つようになっていたことが、事件の要因になったとみている。
厚労省によると、中安容疑者は高校卒業後の1991年、国立病院の事務官として採用され、2005年4月に係長として本省に転勤。07年4月に社会保障担当参事官室勤務になって以降、逮捕までの約8年間、一貫して社会保障や医療分野での情報政策を担当していた。各地のシンポジウムなどにも招かれ、ノンキャリアながらIT分野の専門家として評価を得ていた。同僚の一人は「省内で彼の能力や知識が必要とされていた」と話す。派手なシャツや役人らしからぬ髪形で「異色の存在」としても省内外で知られていた。
同省によると、中安容疑者は昨年度、週の半分を下回る頻度でしか厚労省に出勤していなかった。地方に出ていることもあったとされるが、どの程度が公務だったかははっきりしないという。同省人事課は勤務実態について「今後、把握する」と説明。
同省幹部は「野放しというよりは任せているという感じだった」との印象を語る。
中安容疑者は11年11月、マイナンバー制度導入に備えて厚労省が公募したシステム構築などに関する企画競争の2事業で、受注の便宜を図った見返りに東京都内のコンサルタント会社の70代の男性役員から現金100万円を受け取ったとされる。役員とは現金の授受があった時期の5年ほど前に知り合ったとみられ、捜査幹部は、「さまざまな場所に顔を出して幅広い人脈を築いており、贈賄側の業者ともシンポジウムなどの仕事の席で何度か顔を合わせるうち関係を深めていったようだ」と話す。
(毎日新聞の記事より引用)


公務員は職務専念義務がありますので、兼業は原則禁止です。公務をさぼって余所で仕事をし、報酬を受け取るのは認められません
よほど特殊な事情があれば大学の講師を務めることも許可されますが、それも公務に支障がないと説明できる資料を揃え申請しなければならず、「手続きを煩雑にして兼業できなくする」狙いがあるのだろうとしか思えないほどです(もちろん、この手の扱いは省庁ごとに異なります)
中安容疑者の場合はどうだったのでしょう。厚生労働省ではこの報道を受け、「勤務実態を調べる」と発言していますので、正式な兼業申請の手続きなど踏んでいなかった可能性があります
中安容疑者が過去、情報政策担当参事官室長だった人物にシンポジウムの講師を勤めたり、大学の講師を引き受ける話をし、口頭で了解をだっただけではないかという気がします(当然、そのように上司の一存で決められるものではなく、然るべき手続きをする必要があります)
こうして中安容疑者にやりたい放題を許した結果、今回の汚職を招いたを言えます
当然、室長ら中安容疑者を監督する立場にあった者は責任を問われるのですが、厚生労働省なので文書訓戒とか、ぬるい処分でお茶を濁すのでしょう
中安容疑者の方はどうなるのでしょうか?
懲戒免職は確実ですが、それで社会的制裁を受けたとして裁判では執行猶予付きの判決で済む可能性もあります。となれば、中安容疑者はどこかのIT関連企業に再就職し、官庁相手にコンサルタントのような仕事をするのかもしれません
今回の事件にしろ、年金機構の情報漏えいにしろ、厚生労働省は破れたザルのようです。厚生労働大臣が給料の10分の1を自主返納、などというパフォーマンスで何も解決しないのであり、関係部署の監督責任を厳しく問うべきでしょう

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