来年注目の中国アニメは「我的師父姜子牙」

中国の抗日アニメの動画を探していたところ、来年公開予定の新作アニメの予告編を見つけましたので紹介します
タイトルは「我的師父姜子牙」で、英題は「Master Jiang and the Six Kingdoms」となっています
姜子牙では日本で馴染みのない名前ですが、太公望と言えば誰もが知る名です
太公望の登場する説話、小説は数多くありますが、アニメは「封神演義」をベースにしているのではないか、と思われます

Chinese Animated Feature Trailer 我的师父姜子牙
Master Jiang and the Six Kingdoms



姜子牙(太公望)について、検索したところ端的に説明しているページがありましたので、こちらも付け加えておきます

姓は姜、氏は呂、名は尚。生没年は未詳だが、紀元前11世紀に活躍したとされる。『詩経』では師尚父と呼ばれ、太公望という呼び名は『孟子』(前300年頃成立)以降に広く行われたらしい(意地の悪い言い方をすれば師尚父と太公望が同一人物という保証はない)。また、姜子牙は古い文献や史書の類には見えず、説話化を押し進めるに当たって新たに創作された称謂である。
『史記』等の説話では、渭水のほとりで釣りをしているところを周の文王に見出され(釣り人を太公望と呼ぶのはこれが典故である)、その子武王を助けて殷王朝を打倒したことになっている。
また、周王朝創建後は齊に封じられたという(が、これは単なる系譜上の作為であるという説もある)。
後軍師として尊ばれ、その手になるという兵書が多く偽作された。また、仙道の実現者ともされた。

「封神演義」は明の時代に書かれた小説で、史実とはほとんど関係ありません。そこで姜子牙は崑崙山の道士として活躍しています
「封神演義」は日本でも漫画やアニメ、ゲームなどになっており、おなじみの物語であるため、日本人の反応としては「いまさら…」という感もあります
さて、アニメの方は力のこもった描写がまず目につきます。手抜きも多い中国アニメですが、これはなかなかの力作でしょう
宮﨑駿風の自然描写で中国の悠久なる大地を表現し、NARUTO風の活劇シーンを盛り込もうとしたと思われます
が、はっきり言って戦闘シーンは退屈であり、これが目玉だとしたら失望します
力任せの描写で、少しも面白くありません。監督はスケール感やスペクタクルを盛り込もうとしたのでしょうが、闘いの中にも細かな心情の揺らぎ、ためらい、おそれ、といったものを描こうとし、あるいは敵にすら畏敬の念を捧げる日本のアニメーションの繊細な演出に比べると、格段に落ちます
CGの技術、見た目の美しさは向上している中国アニメですが、物語を魅せる手法はまだまだです
姜子牙(太公望)も白髪の老人という、世俗的なイメージ通りのキャラクターで魅力に欠けます。主役であるキャラが魅力に欠けるのですから、興行では苦戦するのはないかと思われます。白髪、老人フェチの青少年が大勢いるなら別ですが
中国が古典を題材にし、アニメーションを作るのは悪くないにしても、もっと大胆な発想でキャラクターや物語を創造しなければ単なる焼き直しに終わってしまうのであり、その壁を突き抜けられない状況がなおも続いていると映ってしまいます

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