民営化した武雄市図書館 問題山積み

佐賀県武雄市が市立図書館の管理・運営をカルチャー・コンビニエンス・クラブへ委託するとの画期的な試みをし、注目を集めました
図書館の利用者も増え、図書の貸出件数も伸びています。が、別の問題も浮上しています
産経新聞のWebサイト掲載記事から、部分的に切り取って引用します


佐賀県の武雄市図書館が、公費で不要な本を購入していたとする「選書問題」で批判を浴びている。全国で同様の民間委託が進むなか、騒動の行方が注目される。
武雄市図書館を利用する70代女性は「時代小説が好きやけえ、いつも読んでるんやけど、好きだった本は図書館が新しくなったときになくなってしまったの。昔から置いてある、誰も借りないような小説だけが残っているけれど、新しい本はまったく入ってこない」と疑問の声を上げる。
実用的な新しい本が減って、古い本が目立つ--武雄市図書館に対するそうした声は次第に大きくなった。8月5日には、図書館がリニューアルする際に購入されたとされる資料の一覧がネット上で出回り、“不要な書物ばかり購入している”、“TSUTAYAの在庫を買い取っているのでは”、“TSUTAYA商品の販売促進のためなのでは”と、疑惑の声が上がるほどの問題になっていった。
公費で不要な本を購入していたとして、週刊誌などがこの問題を相次いで報道。これを受けCCCはホームページで「納入金額760万円(装備費、物流費含む)で追加納入した蔵書について、より精度の高い選書を行うべき点があった事を反省しております」など、増田宗昭代表取締役社長兼CEO名義でコメントを発表した。
さらにCCCは、追加納入蔵書について調査した結果、リニューアル開館から2015年9月9日までの約2年半で一度も借りられていない蔵書が1,630冊ある事が判明したとし、これらの蔵書と同等の冊数を新たに選書し寄贈することを発表。
武雄市教育委員会は9月11日、「市議会をはじめ、関係各位に対して十分にご説明を果たせなかったことに関して、教育委員会としてお詫びいたします」など、リニューアルオープン時の蔵書購入の経緯と、説明が不足していた点をお詫びするコメントを発表した。


いくつも指摘したい問題だらけなのですが、字数の都合で2点に絞ります
武雄市教育委員会は、「図書の選定に職員も加わりチェックした」と説明しており、選定がCCCへの丸投げではなかったと強調しています
市の職員が関与しておきながら、昔の埼玉県のグルメガイドとか、10年以上前のエクセルの解説本を購入したのであれば、市の職員の責任を問うべきでしょう
しかし、「図書の選定そのものはCCCに委託したのでCCCの責任」だと言い逃れをする始末です
図書館の運営をCCCに委託し、実際は丸投げ状態でノーチェックだったと言わざるを得ません。当然、市は委託先の業者が誠実に業務を遂行しているのか監督する責任があります
前市長が推進した政策なので、それに楯突くような真似はしたくない、との公務員の保身が影響しているのかもしれません
もう1点はCCCの対応です。誰も借りないクズ本を納入しておきながら、「1度も貸し出されていない本が1630冊あった。だから1630冊、新たに寄贈します」と釈明しているのは、論点をずらしているだけで何の解決にもなりません
これでまたTSUTAYAが買い取ったクズ本を1630冊入れて、お茶を濁すつもりなのでしょうか?
公立図書館がどうあるべきか、という論点も加えて、武雄市議会はとことん議論をしてもらいたいものです
それとも前市長とCCCの間に何か特別な利害関係があり、市の職員や市議会議員も口出しできないのか、と訝ってしまいます

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