「四月は君の嘘」映画化　大丈夫か？: 夾竹桃日記

2015年09月05日

「四月は君の嘘」映画化　大丈夫か？

新川直司の描いた漫画で、アニメ化もされた「四月は君の嘘」が実写映画化されると報じられています

漫画やアニメの実写化が日常化している風潮にげんなりとしている自分としては、期待よりも不安の方が勝ります

主演の広瀬すず、山崎賢人の２人は今、旬の役者と言えます

しかし、山崎賢人がメガネを掛けたから有馬公生になれるはずもなく、広瀬すずがヴァイオリンを構えたから宮園かをりになったりはしません

サンケイスポーツの記事では、２人ともピアノやヴァイオリンの経験がなく、目下特訓中であると書いています

女優、広瀬すず（１７）と俳優、山崎賢人（２０）が、来年公開の映画「四月は君の嘘」（新城毅彦監督）にＷ主演することが３日、分かった。いま最も勢いのある２人が、クラシック音楽をテーマにした青春恋愛映画で初共演。すずはバイオリン、山崎はピアノに初挑戦し、本格的なクラシックを披露。胸キュンな恋模様と猛レッスン中の演奏シーンで観客の胸を熱くさせる。

超売れっ子のすずと山崎が、音楽家となり、切ない恋愛物語を奏でる。

映画は、新川直司氏の同名人気漫画が原作。自由奔放なバイオリニスト・かをり（すず）と、母の死を境にピアノが弾けなくなった元天才ピアニスト・公生（こうせい＝山崎）を軸に、人を愛することの素晴らしさを描く作品だ。

製作サイドは「主人公は、いま一番キラキラした人にしたかった」と、２人の起用理由を説明。

来年３、４月公開の主演映画「ちはやふる」が撮了したすずは、来秋公開の出演映画「怒り」を撮影中。山崎は、ヒロインの夫で出演したＮＨＫ連続テレビ小説「まれ」が今月末で最終回を迎え、１２月１２日公開の映画「ｏｒａｎｇｅ」など話題作への出演が続く。

若手俳優の中でひときわ輝く美男美女が初共演する同作の見どころは、演奏シーンだ。すずはバイオリン、山崎はピアノに初挑戦し、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」や、フィギュアスケート男子ソチ五輪金メダリスト、羽生結弦（２０）が今季のショートプログラムで使用したショパンの「バラード第１番　ト短調」など本格クラシック音楽を披露する。

（以下、略）

主演２人の努力には経緯を表しますが、それでもなお、実写化には不安や疑問がつきまといます

１本の映画の中に漫画１１巻分のエピソードを詰め込むのですから、大幅に物語を切り詰めなければなりません。クライマックスとなる東日本ピアノコンクールで、有馬公生がショパンの「バラード第１番」を演奏するシーンは切り刻むわけにはいかないので、１１分以上必要です。ステージに上る前の有馬公生も描かく必要がありますから、この部分だけで１５分以上は確保しなければなりません

全体の尺は不明ですが、１００分から長くても１２０分でしょう

もちろん、全日本ピアノコンクールの後、宮園かをりの手紙を読み上げるシーンも不可欠ですから、そこでまた５分以上は確保しなければなりません

映画の冒頭では当然、有馬公生と宮園かをりの出会い、彼女のヴァイオリンコンクールでの演奏シーンを盛り込む必要があり、省略できません。こうなってくるとコミックの２巻から９巻までの物語を大胆に端折って辻褄を合わせるしかないのであり、それだけ物語の魅力が削ぎ落とされてしまう形になります

残念な「四月は君の嘘」として、スクリーンに登場する結果が予想されます

そうまでして実写化する必要があるとは思えません

有馬公生のライバルである相座武士や井川絵見のエピソード、演奏シーンも大幅に切り詰められ、「四月は君の嘘」という作品の魅力を低下させてしまうのでしょう

『四月は君の嘘』予告編