高槻少女殺害事件を考える8 性的サディズム

高槻少女殺害事件で逮捕された山田容疑者は、黙秘を続けたままであり、自ら進んで事件について語る気はなさそうです
産経新聞の記事が山田容疑者の「性的サディズム」に触れているますので紹介します


非道な犯行に向かうまでには伏線があった。大阪で、中学生の少年少女2人の遺体が見つかった事件。少女に対する死体遺棄容疑で逮捕された
契約社員、山田浩二容疑者(45)は、2002年にも中学生の男子生徒を車に連れ込む監禁事件を起こしていた。鬼畜の心には「性的サディズム」が横たわっていた可能性があると専門家は指摘する。
(中略)
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「前回の事件を踏まえれば、山田容疑者は男の子が目的だったのだろう。性的目的で誘拐した可能性が強いと感じる」と話す。
粘着テープで顔を覆うなど、なぜ残虐な犯行に走ったのか。山田容疑者は前回の逮捕と同時期、別の連れ去り事件を起こしており、被害者の顔に油のようなものをかけて火を付けてもいる。
「残酷なことをしても良心の呵責を感じない人間はおり、山田容疑者もそのタイプなのかもしれない。普通ならナイフで人を刺した感触は気持ちが悪いと思うはずだが、彼らにとっては、紙をくしゃくしゃに丸めるのと同じようなもの。傷つけること自体に快感を感じる性的サディズムの人間であった可能性も考えられる」
傷付けて快感を得続けたいのなら殺人まで犯す必要はないが、碓井氏は「以前、新潟で少女が長期間、男に監禁された事件があったが、犯人は『少女と仲良くなりたい』という気持ちを持っていた。山田容疑者が性的サディズムの人間であった場合、傷つけることが目的で、生かしてペットのように飼うという発想は出てこなかったと考えられる」と説明した。


碓井真史教授の説明で「性的サディズム」について、すんなり納得できる方はそう多くないと思われます
フランスの精神分析家ジャック・ラカンは、「欲望は言語のように構造化されている」と指摘しました
極論するならば、山田容疑者は欲望(性的サディズム)を物語として心の内に秘めている、と言い換えてもよいのでしょう
朝方、私鉄の駅前へ車で向かったのは、そこにいるであろう少年に誘いをかけ、己の欲望の物語に引きずり込むのが狙いだったと解釈されます
以前にも指摘しましたが、世間一般ではサディストとマゾヒストが存在し、互いに相反する欲望を抱えていると理解されます。しかし、フロイトはサディズムとマゾヒズムが相対する概念ではなく、人はその加虐と被虐両方の欲望を秘めているのだと考えました
山田容疑者にすれば、少年を監禁し、恐怖と苦痛を与えるという加虐行為の中に、自分自身がいたぶられる苦痛=性的興奮を見出していたのでしょう
山田容疑者が中学時代に暴走族へ加わったものの、実際はパシリとしての役割を演じていたとの証言を考慮すれば、暴走族内でリンチまがいの暴行を受けた経験も少なくなかったものと想像されます
しかし、山田容疑者は被害体験を苦として暴走族をやめるのではなく、そこで殴られたり辱めを受ける中に性的な興奮、快楽を見出しとどまったのかもしれません
通常は異性に惹かれ、異性を思いやったり、相手の立場を尊重することで相互の信頼関係を築く過程を学んだりするものですが、山田容疑者の場合はそうした体験がほとんどないのか、関係を築くことが難しいある種の発達障害を抱えていた可能性も考えられます
人と情緒的な交流を深めるより、暴力で支配したり、蹂躙して快感を得ることの方が山田容疑者にとっては重要だったのではないでしょうか?

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