第153回芥川賞候補にピース又吉「火花」が
第153回芥川賞候補作が発表され、中でもピース又吉として活躍する芸人又吉直樹の「火花」が注目されています
芥川賞に先立つ三島賞の候補にも挙げられた「火花」ですが、受賞には至りませんでした。産経新聞の記事がその辺りの経緯を記事にしています
三島賞は1票差で逃す
「落ちるはずのない作品が落ちた、という感じです」
三島賞の選考会が行われた5月14日。選考委員の一人の作家、辻原登さん(69)は強く推したという「火花」に、最大限の賛辞を贈った。
今回の候補作は5作品。最終的に「火花」と上田岳弘さん(36)の「私の恋人」の2作品で5人の選考委員が決選投票を行い、3対2で「私の恋人」に決まったという。
「火花」は若手芸人の「僕」を語り手に、私淑する天才肌の先輩芸人との交流を通じ、夢に懸ける若者の泣き笑いの日々を描いた作品。これまでエッセー集や自由律俳句の句集(共著)を刊行してきた又吉さんが初めて書いた純文学作品で、掲載された文芸誌「文学界」2月号は創刊以来初の増刷を記録。3月に単行本化され、発行部数は42万部に達している。
今回の芥川賞候補は以下のとおりです
内村薫風 「ΜとΣ」(新潮3月号)
島本理生「夏の裁断」(文學界6月号)
高橋弘希「朝顔の日」(新潮6月号)
滝口悠生「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」(新潮5月号)
羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」(文學界3月号)
又吉直樹「火花」(文學界2月号)
このうち、高橋弘希と滝口悠生は三島賞の候補にも挙がっていました
実績とネームバリューでは、今回が4度目となる島本理生が抜きん出ています
新人作家の登竜門である芥川賞の候補者、として扱うには実績がありすぎる感もしますが
一部のメディア(「とくダネ!」とか)では、芸人が芥川賞候補になったとまるでネタ扱いしており、不快感が湧きます
純文学だから上だとか、大衆芸能だから下だとか決めつける気はないものの、両者をごちゃ混ぜにして、「純文学の権威=芥川賞なんて、所詮はM-1グランプリと同じ」といった扱い方をするのは愚かしいにもほどがあります
何かの権威を暴いた気になって、してやったりと気取るのは中学生までなら許されるものの、大の大人がやるのを見ているとこちらが恥ずかしくなります
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