大阪心斎橋殺人を考える4 死刑求刑
2012年6月、大阪の心斎橋で包丁を使い男女2人の命を奪った事件で起訴されている礒飛京三被告の裁判で、検察は死刑を求刑しています
3年前に発生した事件でここまで裁判が長引いたのは、最初に実施した精神鑑定を担当した医師が死亡したため、再度の精神鑑定が実施されたという事情もあります(公判には鑑定医が出廷し、鑑定結果について検察側、弁護側からの質問に応じるのが通常の対応です)
当初、「自殺しようとしたができなかった。人を殺して死刑になりたい」と自殺願望としての凶行を主張していた礒飛被告ですが、いかなる心境の変化か死刑にはなりたくないのだそうです
大阪・心斎橋の路上で平成24年6月、男女2人を無差別に刺殺したとして、殺人罪などに問われた無職、礒飛(いそひ)京三被告(39)の裁判員裁判の公判は18日午後も大阪地裁(石川恭司裁判長)で続き、礒飛被告が最終意見陳述で「命ある限り一生償い続ける」と述べ、結審した。判決は26日に言い渡される。
礒飛被告は「遺族の怒りや苦しみ、悲しみを法廷で知った。何の理由もなく2人の命を奪ったことは決して許されることではない」と述べ、遺族に謝罪した検察側が午前の論告で死刑を求刑したのに対し、弁護側は最終弁論で「当時は普通の精神状態ではなく、幻聴に影響された突発的な犯行。計画性はない」と主張。死刑を言い渡した過去の判例と比較しても「最も悪質とはいえない」と死刑の回避を求めた。
また、死刑判決を言い渡す際は裁判員の全員一致を条件とすべきだと指摘。過半数の意見で量刑を決めることができる現在の裁判員制度の違憲性を主張し、裁判員に「多数決でその手に預けられた(礒飛被告の)命を握りつぶさないでほしい」と訴えた。
(産経新聞の記事より引用)
死刑になりたいと言ったり、「命あるかぎり謝罪を尽くしたい」と死刑にはなりたくない心境を述べたりと、コロコロ変わります。身勝手の極みでしょう
弁護側が被告のためにあらゆる手段を使って極刑を回避すべく訴えるのは当然ですが、あざといやり方はかえって裁判員の心証を損なうと思うのですが
そして、「多数決で死刑を決める裁判員制度は憲法違反」との主張です
裁判員制度は憲法違反だと、最高裁まで持ち込む気満々のように映ります。さらに、過去の判例に照らしても「悪質な犯行ではない」との主張に、裁判員の方たちはしらけきった気分になったのではないでしょうか?
死刑になりたいと思い立って無関係の通行人2名の命を奪いながら、「悪質な犯行ではない」との言い分に世間は同情などしません
懸念があるとすれば、最近の風潮(一審の裁判員裁判で死刑判決を下しても、二審の高等裁判所で過去の判例にそぐわないとひっくり返す事態が相次いでいる)から、上級審で無期懲役に減刑する可能性があるところでしょう
礒飛被告には被害賠償に応じるだけの財産もなく、減刑の理由などどこにも見当たらないのですが。無期懲役になったら本でも書いて、印税で稼ぐ気なのかと勘ぐりたくなります
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