人吉市女子高生殺害事件 懲役18年の判決

2014年5月、熊本県人吉市で高校3年生の女子生徒を殺害し、遺体を遺棄した罪に問われていた赤石弥(わたる)被告の判決公判があり、熊本地方裁判所は懲役18年(求刑は懲役23年)の実刑を言い渡しています
弁護側は赤石被告を適応障害のため、責任能力は限定的だったと主張して大幅な減刑を求めていたのですが、熊本地裁はこれを退けた形です。しかしながら、懲役23年という検察側の求刑を5年も割り引いたのは、障害が事件に及ぼした影響を汲んだためなのでしょうか?


熊本県人吉市で昨年5月、高校3年の女子生徒(当時17歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われた赤石弥(わたる))被告(48)の裁判員裁判の判決が12日、熊本地裁であり、溝国禎久裁判長は懲役18年(求刑・懲役23年)を言い渡した。
溝国裁判長は「非常に悪質な犯行で、動機は身勝手極まりない」と述べた。
判決によると、赤石被告は昨年5月4日午後0時15分頃、同市の高塚山で、生徒の首を背後からロープで絞めて窒息死させた。
公判で、検察側は「事前にレンタカーやロープを用意するなど計画性があり、完全に責任能力はあった」と主張。一方、弁護側は「慢性的な適応障害で、犯行時は善悪を判断する能力が著しく低下しており、刑事責任能力は限定的だ」と反論し、被告の責任能力が争点となっていた。
判決は、動機について「自殺願望があった被告が、好意を寄せていた生徒を殺害すれば、絶望して自殺できると考えた」と認定。そのうえで、動機には障害の影響が一定程度あったとしたものの、「遺体をシートで覆って犯行を隠そうとするなどしており、完全責任能力があった」と結論づけた。
判決を受け、刑事裁判に伴う損害賠償命令制度に基づき、遺族が被告に約1億円の賠償を求めた申し立てについても審理を行い、地裁は請求通りの支払いを命じる決定を出した。
(読売新聞の記事より引用)


検察側が明らかにした供述調書の内容で、「赤石被告は21年ごろから浜松市で生活保護を受けながら暮らし、『死にたい』と考えるようになった。インターネットで自殺願望のある女性を探していたが、26年1~3月ごろ、自殺願望のない女子生徒とネットを通じて知り会った。4月に人吉市で初めて会い、好意を寄せるようになった。好意を寄せている女子生徒を殺せば、絶望して自殺できるのではないかと考えた」として被害者との関わりを明らかにしています
弁護側は「赤石被告は被害者と一緒に死のうと考えたが、自殺できなかった。通常では理解できない精神状態だった」と主張しており、赤石被告の理解不可能な犯行動機を「異常な精神状態によるもの」だと説明しています
赤石被告は5月に人吉市に出向いた際、ホテルに呼んだマッサージ師の女性を強姦しようとして怪我をさせており、そんな旺盛な性欲の持ち主が自殺志願者だったとは到底思えません
本件が心中の失敗で相手だけを殺し、自分は死にきれなかったとの主張も疑わしい限りです
5年もの懲役期間を割り引いた裁判所の判断は、ある意味苦渋の決断だったのかもしれませんが、検察は控訴してしかるべきでしょう
赤石被告と被害者の間に何があったのかは、当事者にしか分かりません。しかし、5年という割り引きを憶測すると、「被害者にも落ち度があった」との判断が含まれているような、居心地の悪さを感じます

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