愛知集団暴行事件を考える1 川へ入るよう強要

多摩川の河川敷で中学1年生が暴行を受けて死亡する事件がまだ記憶に新しいところですが、同じような事件が愛知県で起きました
男子高校生が遊び仲間から暴行を受けた後、川へ入るよう強要され、溺れて行方不明になっていると毎日新聞が報道しています。その記事から一部を引用します


6日午後11時10分ごろ、愛知県刈谷市逢妻(あいづま)町3の逢妻川で、「友人が溺れて行方不明になった」と110番があった。行方不明になったのは同市の公立高校の男子生徒(15)。消防などが捜索を続けたが見つからず、7日午後7時に打ち切った。県警刈谷署などは同日、男子生徒に対し集団で暴行を加えたとして、いずれも市内の少年3人を暴力行為法違反の疑いで逮捕した。容疑を認めている。
逮捕されたのは、私立高校生(16)▽土木作業員(15)▽公立中学生(14)の3人。容疑は6日午後10時40分ごろ、逢妻川堤防で、男子生徒に対し、顔や腹を殴る蹴るなどの集団暴行を加えたとしている。
少年らは調べに対し、「6日夜、男子生徒を現場に呼び出して暴行した。川に入って対岸まで行き、戻ってきたら許すと言った。男子生徒は自分で川に入った」などと説明。暴行の理由について「彼女がいるのに、他の女の子をナンパしたことに腹が立った」などと話しているという。
男子生徒と3少年は遊び仲間だったらしい。男子生徒は靴を脱ぎ、服を着たまま川に入った後、「もう無理」と声を上げたため、3人で助けに行こうとしたが、姿が見えなくなったという。
現場には当時、男子生徒と3少年以外に、交際相手の少女を含めた6人の遊び仲間がいたといい、1人が110番した。
(以下、略)


「男子生徒は自分で川に入った」とか、「3人で助けに行こうとしたが、姿が見えなくなった」とか、自らの罪を軽くするための言い訳が並んでいます
男子高校生を殴ったという事実は認めているわけですが、あくまでも暴行の範囲内であって殺すつもりはなかったと言いたいのでしょう。川へ入ったのは男子高校生自身の意志であり、自分たちは手を出しているわけではない、と
まあ、そんな言い訳が通用するはずもなく、この事件は傷害致死罪として扱われるべきものです
「川へ入れ」と強要し、「川へ入らなければさらに暴行を加える」と脅しているのですから、殺意までは認められないにしても、川へ入らせるという行為自体が暴力行使の延長であり、その結果として死に至らしめたなら傷害致死罪を適用するのが妥当です
こうしたケースでは、「暴行を加えたのは自分だけでなく、他の2人もやった」のだから責任は3分の1、だと彼らは考えたがります。できるだけ都合がよいように考えたがるわけです
もちろんそんなこどもの理屈は通用しないのであり、人の命を奪った責任はちっきりと問われるのが世の中の仕組みです

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