平野区ストーカー殺人 懲役30年の判決

2014年5月、大阪市平野区でスナック従業員の女性が、元客の男性に刺殺される事件がありました
逮捕された松本隆容疑者(58歳)はスナックの客として被害者につきまとうようになり、店側から出入り禁止の扱いを受けた後も、執拗にメールを送りつけるストーカー行為を繰り返したため、警察から警告を受けていました
判決公判について、以下のように報道されています


大阪市平野区で平成26年5月、飲食店アルバイト従業員、井村由美さん=当時(38)=がストーカーの男に刺殺された事件で、殺人などの罪に問われた無職松本隆被告(58)の裁判員裁判の判決公判が5月28日、大阪地裁で開かれた。
坪井祐子裁判長は、「一方的に裏切られたと解釈して恨んだ。理不尽で身勝手の極み」として、懲役30年(求刑無期懲役)を言い渡した。
坪井裁判長は判決理由で「謝罪を口にするなど反省しようとする姿勢を見せている」としながらも「犯行の計画性、残忍さ、執拗(しつよう)さの面で悪質だ」と指摘。
「今でも井村さんらの行為を裏切りであると言い、反省は不十分」と述べた。
松本被告は事件の約1カ月半前、井村さんの相談を受けた大阪府警から、ストーカー規制法に基づく警告を受けた。坪井裁判長は「自分の問題に気付く機会があった。ストーカー行為は社会問題となっており、重く処罰することで再発防止に向けた警鐘とする必要がある」とも言及した。
(産経新聞の記事より引用)


殺害された井村さんは警察から、自宅から離れての避難することや松本被告を刑事告訴するよう勧められていたのですが、「夫や子供ら家族がいるからできない」とこれを拒否していたと伝えられています
警察がストーカー規制法に基づき松本被告に警告した時点(2014年3月)で、一旦はストーカーが収まったかに見えたのですが、その2ヶ月後に本件が起きています。松本被告は警告を受けた際、「井村さんには関わらない」と明言していたものの、報復の機会を狙っていたわけです
スナック勤務の女性が客に愛想よく接するのは常ですが、松本被告は勝手に「自分に気があるもの」と決めつけて交際を迫り、井村さんから拒絶されるや「裏切った」と詰り、殺害を仄めかして脅すようになったと伝えられています
何から何まで一人相撲大会のような展開ですが、裁判中でも「井村さんの裏切り」に原因があるかのような発言をしており、本当に反省しているとは思えません
懲役30年の判決は妥当だと言えます
敢えて付け加えるなら、ストーカー被害を受けていた井村さんがもう少し危機感を抱き、数ヶ月間でも自宅を離れ退避していれば悲惨な結果を避けられたかもしれません(その間に被害届を出して松本被告を告訴していれば、との条件が加わりますが)

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