加古川7人殺し事件 藤城被告死刑確定

2004年8月、兵庫県加古川市で親戚宅2軒に侵入し、7人を殺害して逮捕された藤城康孝被告の裁判で、最高裁判所は1審、2審の死刑判決を支持し、藤城被告の上告を棄却する決定を言い渡しました
以下、産経新聞の記事を引用します


被告が犯行当時、妄想性障害による心神耗弱状態だったのかが裁判を通じた争点。弁護側は「親族間や近隣でのいじめトラブルにより、妄想性障害となり殺人者になった。完全責任能力は認められない」として死刑回避を主張。検察側は「1、2審の判断に誤りはない」として上告棄却を求めていた。
1審神戸地裁では、弁護側請求の精神鑑定で、「妄想性障害」として完全責任能力を否定したが、検察側請求の鑑定は「情緒不安定性人格障害」として精神障害はなかったとした。地裁は、「情緒不安定の人格障害があったに過ぎない」として妄想性障害を認めず、死刑を言い渡した。
2審大阪高裁が職権で実施した精神鑑定では、鑑定医が「被告は妄想性障害で、判断能力に著しく障害があった」と責任能力が限定的だったとの見解を示したが、同高裁は「著しい影響を及ぼしたとは認められない」と完全責任能力を認めた。


藤城被告は中学時代から暴力沙汰を繰り返し、そのため親は全寮制の日生学園へ入学させ、素行を改めさせようとしたようです
しかし、高校は卒業したものの仕事は長続きせず、地元ではトラブルメーカーとして有名だったようです
藤城被告の父親は息子に殺されると言い残し、自宅を出て行方をくらませたのだとか
地元の住民は警察に相談したり、保健所に「(精神病院へ)入院させてほしい」と要望していたそうですが、結果として野放し状態のままでした
上記の記事にもあるように、弁護側は藤城被告が「妄想性障害」のため心神耗弱であり、責任能力に問題があったとして死刑を回避するよう主張してきましたが、裁判所は藤城被告に責任能力はあったとして死刑を言い渡しています
7人を殺害し、1人に重傷を負わせた凶悪な事件であり、死刑は妥当な判断でしょう。これで精神障害を理由に減刑したのでは、司法への信頼が揺らぐ事態になりかねません
事件を起こす前に藤城被告を強制入院させていれば凶行を防げたかもしれませんが、保健所がそこまで事態の深刻さを理解していたかは不明です
こうした場合、保健所はまずは同意入院を勧めたと思われます。当然、藤城被告は自ら進んで入院するはずもなく、大暴れしたに違いありません
しかし、藤城被告が高校を卒業して地元に戻り、事件を起こすまで随分と間があるのですから、この間に何か出来なかったのかと思うばかりです

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