ポツダム宣言で安部首相を斬ったつもり(1) 日本共産党
衆議院本会議で行われた党首討論のうち、日本共産党志位委員長と安部首相のポツダム宣言を巡るやり取りが話題になっています
志位委員長は、「日本はポツダム宣言を受け入れて降伏した。そのポツダム宣言では今次の戦争は日本とドイツの結託による世界征服のための戦争だったと書かれている。したがって首相もそれを歴史認識として受け入れるべきだ」と問い糾しました
安部首相は、「私は、まだ、その部分をつまびらかに読んでおりませんので、承知はしておりませんから、今ここで直ちに、それに対して論評することは差し控えたいと思いますが」と答弁しています
このやり取りで、「安部首相はポツダム宣言を読んだことがない」との批判が一部のメディアや一般人のツイッター、ブログで起きています
「戦後レジームからの脱却を目指す」と公言してきた安部首相が、戦後レジームの大枠を決めたポツダム宣言を読んでいなかったのですから、笑うしかないと書いているものもあります
ここではそうした思い込みはさて置き、日本共産党がなぜこの時期に「ポツダム宣言」を持ち出してきたのか、を考えてみましょう
龍谷大学経済学部教授竹中正治は、「日本共産党はなぜポツダム宣言を絶対視するのか?」と題するブログを書いています
日本共産党はなぜポツダム宣言を絶対視するのか?
竹中教授によれば日本共産党はその党綱領において、「ポツダム宣言の完全実施と民主主義的変革を徹底してなしとげることを主張し、天皇制の廃止、軍国主義の一掃、国民の立場にたった国の復興のために、民主勢力の先頭にたってたたかった」と宣言しており、ポツダム宣言こそが戦後民主化の原点であり、その精神の象徴だと崇めているのだと指摘します。そしてポツダム宣言の精神を継承している政党こそが日本共産党であると言いたいのでしょう
しかし、当時の日本政府がポツダム宣言を受け入れたという事実と、現政権がポツダム宣言の精神を継承し、歴史認識として保持するべきか否かは別問題です
いかに安部首相でもポツダム宣言を日本が受け入れた事実を否定しているわけではなく、その当時の歴史認識を今でも継承すべきだとする共産党の主張を訝しく受け止めているだけの話でしょう
もちろんポツダム宣言を読んだ経験があるかどうか、はひっかけ問題のようなものです。読んでいると答弁したなら、さらにその内容を問い質し、首相の知識不足をあげつらう気でいたのでしょう
安部首相が上記のような紋切り型の答弁で逃げたとして、なぜ批判されなければならないのか自分にはさっぱり理解できません
国会はクイズ大会ではないのであり、歴史をあれこれ議論する場でもなく、現下の政策を論じる場です
ちなみにポツダム宣言は第6条で、「日本の人民を欺きかつ誤らせ世界征服に赴かせた、影響勢力及び権威・権力は永久に排除されなければならない」と書かれており、これを根拠に日本共産党は天皇制廃止を唱えているわけです
安部首相がポツダム宣言の精神を現政権でも継承していると答弁しようものなら、志位委員長は天皇制を即時廃止せよ、と迫ったのかもしれません
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