「日本は北朝鮮のレアアース狙い」と書く中国メディア

中国や韓国のメディアが報じるとんでもない記事をたびたび紹介しています。これらの報道は事実関係などすっ飛ばし、憶測やら偏見、時には陰謀論によるでっち上げだったりします
日本のメディアがこうした記事を掲載しようものなら世論の批判を浴び、訂正を迫られるわけですが、中国や韓国ではこの手の扇情的な報道も許容されているのか、改善される気配は皆無です
今日はサーチナの配信記事で、「中国メディアの参考消息は1日、韓国の中央日報の報道を引用し、中国やロシア、英国、米国のほか、日本などが北朝鮮の地下資源を狙っていると伝え、特に日本は「北朝鮮のレアアース(希土類)に狙いを定めている」とする内容の報道を取り上げます


(前略)
日中関係の冷え込みを受け、日本が北朝鮮のレアアースに関心を抱き始めたと伝え、中国のレアアース輸出のうち日本向けが全体の56%を占めることを指摘、日中関係の悪化は日本にとってレアアースの調達において不利であると論じた。
続けて、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる対立を受け、2010年に日本はレアアースの調達が困難になったことを指摘し、日本がレアアース調達先の多元化を迫られていると紹介。続けて、北朝鮮が1980年代からレアアースの価値を認識していたとする一方、生産には大規模な設備が必要だったため生産を見送っていたと論じた。
一方で記事は、日本と中国の対立を受け、レアアースの価値に目を向け始めたと伝え、北朝鮮が3月にオーストラリアなどの地質学者とともに実施した調査結果として、北朝鮮には2億1600万トンものレアアースが埋蔵していると発表したことを紹介。2010年の世界のレアアース消費量が14万トンだったことを指摘し、北朝鮮の埋蔵量の豊富さがわかると論じた。
続けて、北朝鮮の発表はあくまでも推測値に過ぎないと指摘する一方で、中国がレアアースの輸出割当制度を廃止し、厳格な環境基準のもとで生産をコントロールし始めたことを指摘し、北朝鮮のレアアース生産の環境規定は中国ほど厳しくはないとし、「これこそ日本が北朝鮮との関係を改善したい理由」と主張した。


中国はレアアースの輸出を規制し、日本に打撃を与えようと試みたのですが失敗しています(その狙いは日本企業に圧力をかけ、レアアースの精錬・精製技術を中国へ移転させようとしたものですが)
上記の記事は韓国の中央日報の報道の受け売りであり、事実関係を精査した上で引用しているものではありません
北朝鮮がレアアース採掘を見送った理由を、「大規模な設備が必要だった」などと書いていますが、中国と同様に北朝鮮も加工や精錬の技術がないのですから、露天掘するだけの単純作業です。大規模な設備等は不要です
それすらしないのは、資源が地下深くに分布していて採掘にコストがかかるとか、レアアースの含有量が少なくコストに見合わないなどなどの理由が推測されます
百歩譲って、北朝鮮がレアアースの精錬・精製の設備を国内に建設するため日本企業と提携を模索していたとするなら、そうした報道があって然るべきですが、未だに見かけた覚えはありません
北朝鮮には豊富な地下資源がある、との話は昔から繰り返されてきた都市伝説のようなものであり、そんなものがあるなら貧困国である北朝鮮は真っ先に掘り出しているはずです
そんなあるのかないのか判然としない資源を日本が狙って北朝鮮と接近する、などという空想を現実のように書き立てるのですから呆れてしまいます
日本は拉致問題の解決を最優先にしている事実を無視し、「資源狙い」だと決めつけるのも理解できません

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