「中国主導アジアインフラ銀行不参加は大失敗」と書くメディア: 夾竹桃日記

2015年04月06日

「中国主導アジアインフラ銀行不参加は大失敗」と書くメディア

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神戸新聞など共同通信の記事を配信している地方新聞が、「中国主導のアジアインフラ投資銀行へは不参加とした日本政府の判断は誤り」と批判する記事をこぞって掲載しています

アジアインフラ投資銀行の件については先月も当ブログで言及したところで、中国が恣意的に運営する金融機関は信用できず、日本は関わらないのが正解だと述べました

以下、神戸新聞の社説を一部引用し、その認識の誤りを指摘します

中国が主導して年内発足を目指すアジアインフラ投資銀行（ＡＩＩＢ）に、５０以上の国・地域が創設メンバーとして加わる方向となった。

組織運営などに対する懸念から参加表明を見送った米国、日本は取り残された格好だ。動きを読み誤った外交力が問われる事態である。

インフラ整備の資金調達に悩む途上国、新興国に融資するＡＩＩＢは日米が支える世界銀行やアジア開発銀行と役割が重なる。戦後の経済秩序への挑戦と見た米国は水面下で関係国に参加見送りを働きかけ、日本も歩調を合わせてきた。

ところが先月、英国が参加申請に踏み切って流れが一変した。

将来、アジアでは巨額のインフラ投資が要る。ＡＩＩＢ参加で中国と関係を強めれば商機を拡大できる、との期待は大きいのだろう。先進７カ国（Ｇ７）メンバーや新興国が雪崩を打つように英国に続いた。

米国の影響力に陰りをうかがわせ、威信にもダメージが及ぶ。オバマ政権には衝撃だったに違いない。

日本としては、ＡＩＩＢが幅広い参加国を得て発足することを前提に、対応を早急に詰める時だ。ＡＩＩＢは中国が最大の出資者となり、初代総裁も担う予定だ。透明な融資審査、乱開発や不正を防ぐ厳格なルールづくりなどに不安が残る。金融支援を通じた影響力の拡大という思惑もあるとみられる。

とはいえ、不参加が長期的にみて国益にかなうのかどうか。日本も加わって内側から声を上げる。欧州やアジア、中東などの国々がこぞって参加を決めた今、それが現実的な選択肢ではないか。「協調」をうたう中国側も軽視できないはずだ。

中国はブラジル、ロシアなどを含む新興５カ国（ＢＲＩＣＳ）による開発銀行の創設にも取り組む。中国の通貨・人民元が、いずれ基軸通貨になるとの見方も根強い。

（以下、略）

まずアジアインフラ投資銀行には50カ国程度しか参加がない（創設メンバーとして、ですが）と指摘しておきます。これで日本が孤立したかのように言うのは大間違いでしょう

「将来アジアでは巨額のインフラ投資が要る」との前提も怪しいものです。アジア各国が社会的なインフラ整備に乗り出したいのは事実ですが、それでも各国の財政事情の許す範囲でしか取り組めません。アジアインフラ投資銀行が融資をするとはいっても、返済能力以上の借り入れはできないのであり、不況に見舞われてしまえば融資の返済も滞ってしまいます

こんな危うい投資に乗り出そうという銀行を、「成功したも同然」と持ち上げる論説委員の頭は大丈夫なのでしょうか？

しかも国際金融のノウハウがない中国が主導するのであり、船頭なしに船を漕ぎだすのも同然です

アジアインフラ投資銀行の投資の対象は世界銀行やアジア開発銀行から融資を受けられなかった危うい案件ばかり、という事態を論説委員は想像できないのかもしれません

しかもインフラ整備の工事は中国企業（手抜き工事が当たり前の連中）がほぼ独占的に受注するわけです。欠陥だらけの地下鉄を建設されたとなれば、融資を受けた国がこれを不満とし、融資返済を拒否する事態も予想されます

まだ走り出してもいない、どこへ向かうかも定かではないアジアインフラ銀行を持ち上げ、中国外交の勝利だと礼賛し、他方で日本の外交の敗北だと決めつけるのはいかにも頭の悪い判断でしょう

日本は世界銀行、アジア開発銀行を通じて国際協力を進めればよいのであり、アジアインフラ投資銀行に参加する必要などないのです

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