松戸女子大生殺人事件を考える7 最高裁も死刑を否定
2009年、千葉大学の学生だった荻野友花里さん(当時21歳)が殺害され、部屋が放火された事件では、1審の千葉地方裁判所が死刑判決を言い渡しました。しかし、2審の東京高等裁判所ではこれを破棄して無期懲役の判決を下し、このたびの最高裁判所でも2審の判断を支持、検察の上告を棄却する決定が下されました
毎日新聞がこの裁判員裁判の結果を否定する最高裁の姿勢に鋭い批判を投げかける記事を掲載していますので、紹介します
◇遺族、強い憤り
「泣き叫ぶというよりも、涙が出ないくらい怒りを覚える」。2009年に千葉県松戸市で殺害された千葉大4年、荻野友花里さん(当時21歳)の母、美奈子さん(62)は声を震わせた。
友花里さんは、自宅マンションに侵入してきた竪山辰美被告(53)に包丁で胸を刺され、亡くなった。裁判員裁判の千葉地裁は死刑。出所直後から強姦事件などを繰り返したことが重視されたが、東京高裁で減刑され、最高裁も支持した。荻野さんは「娘は殺されて、裸にされて燃やされた。遺族には『公平』の言葉に意味はない」と怒気を込めて語り、「加害者は一人一人違い、被害者もいろいろなのに、結局、プロの裁判官に都合の良い言葉のまやかしではないか」と訴えた。
(中略)
◇解説…公平性重視、鮮明に
殺害された被害者が1人の事件で市民が加わった死刑判断の破棄を認めた最高裁決定は「先例の検討は裁判員裁判でも変わらない」と述べ、特に死刑判断の局面では過去の裁判例との公平性を重視すべきだとの姿勢を鮮明にした。
司法研修所は2012年の研究報告で、被害者1人で死刑が確定したケースは仮釈放中の無期懲役囚による例や、身代金目的の計画的事件などに限られており、「裁判員にも先例の理解が求められる」と指摘した。
さらに最高裁は14年、裁判員裁判の判決が求刑を大きく超えたケースで「他の裁判との公平性が保たれなければならない」とし、先例と異なる量刑判断には「従来の傾向を前提とすべきでない事情が具体的に示されるべきだ」との判断を示した。
今回の決定もこれを踏襲して「死刑とする根拠が見いだしがたい」とした。
死刑選択という極めて重い市民の判断が覆される例が相次げば、制度の存在意義が揺らぐ懸念もあるが、裁判官出身の千葉勝美裁判長は「過去の例を共通認識として死刑か否かを判断すれば、健全な市民感覚が生かされる」と補足意見を述べた。先例を酌みつつ市民感覚を生かす努力が、プロの裁判官に一層求められる。【川名壮志】
(毎日新聞の記事より引用)
指摘するまでもなく、被害者が1人という殺人事件でも死刑が確定した判例は幾つも存在します。当ブログで言及した三島女子大生殺人の服部死刑囚や、女児誘拐殺人の小林薫死刑囚などです
そうした過去の判例をあるのを最高裁は承知しているはずなのに、「過去の判例を十分検討していない」と理由をこじつけ、一審の死刑判決を反故にするというやり方は下劣であり、あきらかに作為的なものでしょう。最高裁は裁判員制度を頭から否定したいのではないか、と思ってしまいます
特に被害者を焼き殺した三島女子大生事件の服部死刑囚と、この松戸事件の竪山辰美被告の間にどれだけの差異があるのか、と問い詰めたくなります
特に竪山辰美被告は仮釈放後、7人もの女性に対する強姦事件を起こし、反省も態度も微塵もありません。女性の尊厳を踏みにじる強姦という行為の結果を、最高裁はまったく考慮していないと言わざるを得ません。近年稀に見るひどい判決でしょう。こうした最高裁の誤った判断を我々国民は批判し、糾弾しなければならないと改めて思わされました
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