蟹江町３人殺傷事件　死刑判決に不服、控訴: 夾竹桃日記

2015年02月26日

蟹江町３人殺傷事件　死刑判決に不服、控訴

愛知県蟹江町で２００９年５月、会社員山田喜保子さん（当時５７歳）ら親子３人を殺傷したなどとして、強盗殺人などの罪に問われ、１審・名古屋地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた中国籍の元三重大留学生林振華被告（３１）が名古屋高裁に控訴した、と報じられています

控訴するのは被告人の権利ですが、２人を殺害し１人に重傷を与えて金を奪ったという重大な犯罪の結果として死刑判決を受けて、何が不満なのでしょうか？

弁護側の主張は強盗殺人ではなく、窃盗罪と殺人罪が適用されるべき事件であり、死刑判決は重すぎるというものです

犯人を弁護するのが弁護人の立場ですから、法廷戦術を駆使するのは当然だとしても、２人を殺害し１人に重傷を与えた事実そのものに争いはなく、ただその犯罪行為が窃盗と殺人に分けて扱うのが合理的なのか、強盗殺人と見なすかという不毛な理由による控訴は何とも言い難いものがあります

もちろん狙いは死刑を回避するためであり、窃盗と殺人の併合罪なら無期懲役の判決もあり得るからと、林振華被告が執着しているからなのでしょう

弁護側は１審の名古屋地裁の裁判開始前に、林被告に「訴訟能力がない」として精神鑑定を申請し、地裁がこれを認めていました。しかし、三重大学に通い、卒業までしている林振華被告が精神異常で心神喪失状態にあるなどという鑑定結果が出るはずもなく、「裁判に出廷し、公判を続けられる訴訟能力はあり、犯行時の責任能力ともに問題はない」とする鑑定書が提出されています

この精神鑑定請求も死刑を回避するための戦術の１つだったわけです

なお、林振華被告の両親が今月１０日に中国・山東省から来日し、謝罪と被害弁償の一部として現金５００万円の支払いを申し出ていたが、遺族側はこれを拒否したとも報じられています

被害弁済をすれば減刑をするべき情状と見なされますので、これも死刑回避のために弁護人が講じた策なのでしょう。しかし、５００万円の弁済で被害者遺族が納得するはずもありませんし、感情を逆撫でしただけはないでしょうか？

林振華被告の両親にすれば親戚を回って拝み倒し、やっと工面した５００万円なのでしょうが、遺族側からすれば１億円くらいの損害賠償を請求したいところなのですから、被害者感情をなだめる役には立ちません

何度も書いていますが、高等裁判所では１審の裁判員裁判の下した判決を否定する姿勢を露骨に示しており、この事件も高等裁判所でどのような判断が下されるか注目されます。まさかこの死刑判決を否定して、無期懲役を言い渡すような真似はしないと思いますが

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