「安部首相の狙いは徴兵制復活」と書く金子勝
週刊誌「女性自身」の掲載記事に「専門家が予想する2015年日本の政治」と題するものがあり、どのような専門家が予想を書いているのかと興味を持って読みました。しかし、その専門家というのが慶應義塾大学経済学部教授の金子勝だと分かった瞬間、苦笑いするしかありません
金子勝教授は一時期、「政府の誤った経済政策の結果、貧困層が増えている」との批判を展開し、NHKなどが好んで番組に出演させていました。しかし、金子教授が有効な経済政策を提唱したとは思えず、批判のための批判を展開しているだけの人物との印象を受けました
その金子教授に安倍政権の行方を予想させるのですから、結果は見えています
専門家が予測する2015年日本の政治「戦前に逆戻りを…」
「’14年の年末に行われた総選挙で、国民は再び安倍首相に衆院の3分の2の議席(参院で否決されても再び衆院で可決できる絶対多数。および憲法改正発議に必要な議席数)を与えてしまいました。’15年は、安倍晋三さんが暴走する1年になると言っていいでしょう」
こう懸念をあらわに語るのは、慶應義塾大学経済学部教授の金子勝さん。’14年12月14日に行われた衆院選で、公明党と合わせた与党が326議席を獲得。衆院定数の3分の2を維持したからだ。
それでは実際に’15年、この国はどう暴走する可能性があるのか?5月からの国会で待っているのが、集団的自衛権行使容認の法整備の審議だ。
「すでに閣議で行使容認は決まっていますが、関連法案を改正しないと実際に自衛隊は派遣できません。これらの法整備を夏までに済ませれば、いつでも海外派遣可能になるはずです。私がいちばん危惧しているのは、そのときの中東のイスラム国の状況です」(金子さん・以下同)
現在、米国はイラク国内のイスラム国に対して空爆を行っている。
「米国がイラクで地上戦を開始する可能性は高い。もし、集団的自衛権行使の法整備が秋口に完了し、ちょうどそのタイミングで米国がイラクでの地上戦を開始するとなれば、安倍首相の判断次第で、即時、自衛隊派遣ですよ。タイミングさえ合ってしまえば、年内に、イラクへ自衛隊が行くことも考えられます」
もうひとつ、5月には、自民党の憲法改正推進本部が新たな憲法草案をまとめると伝えられている。金子さんは「この中身が大問題」と話す。草案には徴兵制の施行も入っているというのだ。’14の衆院選圧勝を受けて、安倍首相は記者会見で憲法改正を視野に入れていることを明言した。
「安倍首相が今後、4年間続くであろう政権中に成し遂げたいのは、アメリカから押しつけられた現在の憲法を廃して、戦前の日本に戻るような憲法に改定することです。自民党の憲法改正草案の中には、徴兵制だけでなく、基本的人権の代わりに家族の助け合いとか、福祉は家族のきずなで賄うとか、戦前回帰の内容がたくさん盛り込まれている。これが安倍さんの望む日本像なんですよ」
(以下、略)
日本がイスラム国攻撃に参加すると発言していますが、実現の可能性はさほど高いとは思えません。金子教授は明言していないものの、イスラム国掃討戦に陸上自衛隊を派遣し、戦闘に参加させるのを危惧しているのでしょう
しかし、これまでの自衛隊の実績(実戦経験がない)からして、直接地上戦に参加するのはハードルが高すぎ、現実的ではありません。むしろ、イスラム国掃討後の治安維持活動への参加といった任務の方が妥当かと思われます
さらに金子教授は安部首相がこの先4年間で憲法を改正し、戦前回帰を実現させようとしているなどと珍説を披露しています。目玉の1つが徴兵制復活だとまで言い切ってます
自民党の憲法改正草案はインターネットで閲覧できますが、「徴兵制の実施」とはどこにも明記されていません。金子教授が何を根拠に徴兵制復活を言い出したのかは不明です
過去にも何度か言及していますが、日本が現時点で徴兵制を復活し若者数十万人を軍隊に編入する必要はどこにもありません。そもそも2年程度の徴兵期間で長年訓練を積んだ陸上自衛隊員と同等の兵士に仕立てるなど無理な話であり、手間や費用がかかる割にメリットはあまりに少ないのです
しかし、左翼系言論人は繰り返し「政府は徴兵制復活を目論んでいる」と発言して、若者に危機感を抱かせようと目論んでいます。「徴兵制は嫌だ」と若者が騒ぎ出し、政府批判に加わるのを期待して煽っているのでしょう
今でも若者は貴重な労働力です。彼らの就労機会を奪ってまで徴兵制を敷く必要が現時点であるとはずもなく、金子教授の発言も若者を動揺させた上で、「反安倍」の陣営へ引き込もうとする宣伝だと言えます
加えて、衆議院で与党が3分の2を制したからといってすぐに憲法改正に着手できるわけもなく、安倍政権がこの先4年続くと仮定しても憲法改正の発議にまで漕ぎ着けるかは疑問です
憲法改正案の草案はあるものの、新憲法の条文はこれから詰める必要があり、あと数年はかかると思われます。さらに憲法が改正されれば諸々の法律、制度の改正も必要となりますので、その準備や調整に膨大な時間が必要です
憲法改正の国会審議は安倍政権の次の政権に委ねられる、と考えるのが相当でしょう
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