和歌山小5刺殺事件を考える2 地域の不審者
和歌山県紀の川市で小学5年生の森田都史君が刺殺された事件で、容疑者として近所に住む中村桜洲(おうしゅう)が逮捕されましたが、依然として事件への関与を否認しています
これまでの報道で中村容疑者の数々の奇行が明らかになっているのですが、近隣住民は中村容疑者を犯罪に走るかもしれない危険な人物だとは見做していなかったと毎日新聞が書いています
(前略)
約2年前から住民の多くが、木刀を振り回すなど中村容疑者の不審な行動に気付いていたが、警察や学校、自治会に通報はなかった。名手小には昨年11月ごろ、「ニヤニヤしながら自転車に乗っている若い人を見た」という不審者情報が寄せられたため学校周辺でパトロールを強化したが、中村容疑者の奇行への対応は取られていなかった。
現場から名手小まで約500メートル。子供が通う30代の女性は「地域で情報を共有していれば、何か対応できたのでは」と言う。
だが、不審者かどうかの線引きは難しい。
地元で副区長を務める男性(68)は「棒を振り回していても『剣道の練習』と言われれば不自然ではない。注意を喚起することで、その人を『不審者』と決めつけてしまっては……。被害がなければ動きにくい」と悩む。
住民らによると、現場の後田(しれだ)西地区は約20年前に造成された新興住宅地。和歌山市内などから移ってきた世帯が多い。ある男性(67)は「住民同士のつながりが深いとは言えない。共働きで日中は家にいない人が多く、地区として防犯の取り組みもしてこなかった」と悔やむ。
(後略)
記事ではしきりに不審者、不審者と書いていますが、これでは危機感が伝わってきませんし、地域の住民たちも何が「不審者」なのか頭に思い浮かばないのだろうと思われます
「不審者」と表記してしまうと、地域住民以外の他所者とのイメージが湧きます
この時点で地域住民である中村容疑者は「不審者」のリストから漏れてしまい、誰の目にも「不審者」として映らなくなってしまうのです
ここは「不審者」と表記せず、「地域で危害を及ぼす可能性のある人物」とでも表記した方がよいのではないでしょうか?
例示として無職の人間、引き篭もりの人間、精神異常者、性格異常者、ストーカー行為や痴漢行為など問題行動歴のある人間など、具体的に挙げるべきでしょう
中村容疑者が刃渡り40センチもある鉈かナイフのような物を腰に差して歩いていた、との報道もありました
それが事実なら銃刀法違反に当たります。しかし、そんな異常な行動ですら地域の人間は黙って眺めているだけで、危機意識を持ちませんでした
地域の派出所では、「この地域で問題を起こしそうな人物」をリストアップしているはずですが、中村容疑者の異常な行動が派出所の警察官に伝わっていなかったのかもしれません
これだけ奇行のエピソードがありながら、地域では中村容疑者をまったく警戒していなかったというのは驚きであり、意外です
もちろん、中村容疑者の家族も奇行を繰り返す彼を放置していたのですから、あまりに問題意識がなさすぎで、どうなっているんだと問い質したくなります
両親は息子の変容、奇行をまったく問題視していなかったのでしょうか?
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