ワタミ、ゼンショーの給与下落はアベノミクス失敗のせい?

週刊ポストに掲載された記事で、アベノミクスの効果を調べるため上場企業の平均年収データを比較した結果、ワタミはゼンショーの従業員の給与が大幅にダウンしていると分かったと書いてありました
ワタミやゼンショーは指摘するまでもなくブラック企業と目され、経営の失敗によって業績が落ち込んだ会社です。その経営失敗による給与の下落が、アベノミクスの失敗とどう結びつくのか、何とも理解しかねる記事になっています


ワタミの平均年収は前年比で55万円減 ゼンショーは94万円減
本誌はアベノミクスの効果を調べるため、「東京商工リサーチ」の全面協力で2013年度の全上場企業(3502社)の平均年収データを入手し、企業ごとに社員の平均年収が2012年度からどのくらい増減したかを比較した。円安による原材料費の上昇や消費の落ち込みに直面しているアベノミクス不況業種は社員もさらに苦しい。その代表が小売・外食産業だ。最大手のイオンの平均年収が54万円下がったのをはじめ、「ブラック企業」批判が上がったワタミは55万円、「すき家」を経営するゼンショーホールディングスは94万円下がった。
(以下、略)


上記の引用部分を読むとアベノミクスの結果、円安による輸入原材料価格の上昇や、消費税率の引き上げによる消費の落ち込みによって、牛丼チェーンを経営するゼンショーや居酒屋チェーン経営のワタミの業績が悪化したと決めつけているようです
しかし、ゼンショーの場合は「すき家」における深夜のワンマンオペレーションという勤務形態が維持できず、夜間の営業を止めたため業績が悪化したと考えられるのであり、円安による牛肉の輸入価格の高騰や消費の落ち込みだけが主たる要因とは言えません
ワタミに至ってはアベノミクスと何が関係しているのか、首をひねってしまいます
利用客離れも、ブラック企業という悪評もすべてアベノミクスに原因があると言いたいのでしょうか?
週刊ポストは、「政府・与党はアベノミクスによって給与が上がったと宣伝しているが、それは嘘だ」と言いたいがためにこの記事を掲載したと思われます
ですが、例として挙げるにはゼンショーもワタミも不適当であり、読者をミスリードするための記事でしょう
業績が悪化した企業では夏冬のボーナスを減額しているはずで、平均年収が落ち込むのは当然です
個人的な話ながら自分の給与はわずかではありますが上がっています。この事実をもってアベノミクスは効果があったと断定する気にはなりません。従業員を確保するため、同業他社に見劣りしない給与水準にする必要があって給与の引き上げを実施したというのが実情です

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