世襲政治批判する評論家も居酒屋談義レベル
衆議院議員選挙の開票結果が出たところですが、当選議員の中には世襲議員も多く、さまざまな形で弊害が指摘されています
ただし、世襲であることが諸悪の根源とまで決め付けるのはどうか、と思ってしまいます
J-CASTニュースの配信記事で、評論家の八幡和郎の世襲政治批判が目につきましたので取り上げます
中身は長文なのですが、世襲政治を時代遅れな前近代的制度と言わんがための内容であり、突っ込みどころだらけです
東大卒の元官僚で現在は徳島文理大学教授の職にあり、評論家として著作も多数という活躍振りなのに、中身が居酒屋談義のレベルという情けない内容ではせっかくの批判も見掛け倒しでしょう
まずは記事を一読下さい
連載・世襲政治に未来はあるのか(4)
日本人は世襲が好き リーダーに能力求めない文化がある 作家・評論家の八幡和郎さんに聞く
評論家にして大学教授である八幡和郎のプロフィールは「東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官房参事官などを歴任」という輝かしいものです
通常なら自民党の有力者から、「君、選挙に出ないか」と誘いがかかるレベルなのに、なぜか声がかからなかったのでしょうか?
それはさておき、上記の記事の中身を確認しましょう
「歌舞伎役者は世襲できますが、オペラ歌手は基本的にはできない。これは、一般的な能力があれば、特別な才能がなくても歌舞伎役者になれることを示しています。日本の政治家にも難しいことはさせないので、後を継ぐためには『見よう見まね』でも何とかなる。そもそも要求水準が低い」と発言していますが、これはあまりに強引が決めつけであり、世襲政治家を無能だと言いたいがために「歌舞伎役者は才能などなくても誰でもできる」という無茶な理屈です
この程度の屁理屈を大学の講義の中で開陳しているなら、徳島文理大学の学生にとっては不幸な限りでしょう
ヨーロッパでも宮廷楽士など世襲の仕事は枚挙にいとまががありませんし、身分制度でがちがちに固められていた社会であったのは指摘するまでもありません
政治の世界でも、ヨーロッパ各国では門閥貴族らが仕切ってきた時代が長かったのであり、その中でも優秀な人物が折々の政治の舞台で活躍したため世襲の批判がなかったと言えます(もしくは世襲政治が当然だったから、とも言えます)
ウィリアム・ピットは14歳でケンブリッジ大学に入学が認められ、24歳でイギリスの首相になった貴族で、父親も首相を務めています。絶頂期にあったナポレオンに対抗してイギリスを守りぬくという功績の残しました(その無理がたたったのか、若くして亡くなっています)
さて、話を戻して「特別なし才能なくても政治家になれる」との指摘はどうなのでしょうか?
東大卒で英語がペラペラでも選挙に勝てなければ政治家になれません。逆に三流大学卒業で英語がしゃべれなくても、大衆を惹きつける魅力があれば選挙に勝って政治家になれるのです。これを特別な才能だと自分は思うのですが
小泉純一郎は奇人、変人と言われ英語も初級会話程度でしたが、大衆を惹きつける魅力を備えていました。その才能だけで首相になったと言えます
東大卒の評論家にして元エリート官僚の八幡和郎には、こうした人間的な魅力が政治家として必要な才能だと理解できないようです
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