落とし穴事故で妻と友人に4100万円の賠償命じる判決

2011年の夏、石川県の海岸で夫の誕生日のサプライズとして妻がその友人とともに落とし穴を掘り、夫婦とも落とし穴に落ちて砂に埋まり、死亡する事件がありました
刑事事件としては首謀者であった妻が死亡していたため不起訴となり、穴を掘った友人6人も起訴猶予処分になっていました
が、夫の両親がこの結果を不満として妻の親や友人らを相手取って民事訴訟を起こし、損害賠償を求めていました
金沢地方裁判所は妻の両親と友人らに対し、約4100万円の倍賞を支払うよう命じる判決を下しました
以下、朝日新聞の記事を引用します


石川県かほく市の海岸で3年前、20代の夫婦が落とし穴に転落して亡くなった事故をめぐり、自ら掘った穴に落ちて死亡した妻や一緒に穴を掘った友人らの損害賠償責任が問われた訴訟の判決が28日午後、金沢地裁であった。和田健裁判長は妻の両親と友人6人に計約9100万円の支払いを求めていた夫の両親の訴えを認め、賠償を命じた。
事故は2011年8月27日深夜に起きた。金沢市の会社員出村裕樹さん(当時23)と妻(同23)が直径2・4メートル、深さ2・3メートルの落とし穴に転落。崩れてきた海岸の砂に埋もれ、窒息死した。落とし穴は事故当日の午後2~7時ごろ、「誕生日を迎えた裕樹さんを驚かそう」と考えた妻の発案で掘られ、シートと砂で隠されていた。事故発生時、友人たちはクラッカーなどを持って現場近くで待機していた。
夫の両親は翌12年10月、「5時間かけて掘った穴に落ちれば死亡する可能性があると予測できたはずだ」として提訴。裕樹さんと一緒に穴に落ちた妻の賠償責任については親が相続している、と訴えていた。これに対し、妻の両親と友人側は「(裕樹さんは)穴の存在に気づきながら、あえて落ちた」「穴の底には安全性を確保するために緩衝材を置いており、転落して死亡するとは予測できなかった」として請求を棄却するよう求めていた。
事故をめぐっては、県警は11年12月、妻と友人6人を重過失致死と海岸法違反の疑いで書類送検。金沢地検は12年1月、不起訴処分(妻は被疑者死亡、友人6人は起訴猶予)とした。


穴の底に緩衝材を置いて怪我のないよう備えていたとの言い分ですが、落とし穴の側面には何の補強もしなかったのでしょうから、穴の周囲が崩れて大量の砂に埋まる危険は十分予測できたはずです
上記の朝日新聞の記事では賠償金額が9100万円になっていますふが、他のメディアでは約4100万円と報じられていますので訂正します
賠償金額4100万円の負担の割合がどうなっているのかは不明ですが、悪戯心で参加した友人6人にとっては重い負担でしょう
裁判の途中で和解の途も探ったとは思われますが、息子を殺害された両親としてはとても和解する気になれなかったのかもしれません
大の大人が7人も集まって稚拙な悪戯を仕掛けた結果、2人の命が失われる重大事に至ったわけであり、重いツケを支払う羽目になったのも仕方のないところでしょう。互いの人間関係もズタボロになってしまい、言いようのない不満だけが残ってしまった感があります

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