「K-POPの次はK文学ブームを」と書く韓国メディア

今年の1月、朝鮮日報に掲載された記事で、「K-POPの次はK文学ブームを起こさなければならない」との主張が掲載されているものがあり、タイミングを逃した形ではありますが紹介します
なぜそこまで執拗に売り込みを図ろうとするのか、ちょっと不気味な感すらします
韓国ドラマやK-POPが日本で人気を博したからには、韓国文学も日本で賞賛されるべきだ、とでも思っているのでしょうか?
「売れたら勝ち」というだけの、目先の商売を狙った戦術で競争の激しい日本市場に地歩を築けるほど甘くはないのですが
以下、朝鮮日報の記事を引用します


「韓国語に翻訳され韓国で出版される日本の書籍は年間900種類を超えるのに、日本で出版される韓国の翻訳図書はわずか20種類に過ぎない。純文学に限れば4~7冊程度。『K文学』(韓国文学)の風を起こさなければならない」
韓国書籍の翻訳出版を手掛けるCUON(東京都中央区)の金承福代表取締役は12日、聯合ニュースの電話インタビューに応じた。
日本での韓文学をめぐる現状について「認知度も低く韓国語を理解する日本人編集者はいくらもいないため出版が難しい状況」と説明した。
金氏は韓国では日本の大衆文化が先に広まった後、文学などの文化が受容されたと指摘。
「日本でK-POPやドラマを中心に旋風を起こした韓流が今こそK文学に引き継がれる時が来た」と述べた。
ソウル芸術大で詩を専攻した金氏は1991年に渡日。日本大文芸学科を卒業後、広告会社勤務などを経て、強固な文学性と大衆性を兼ね備えた韓国文学を日本に紹介するため2007年に出版社CUONを立ち上げた。現在までに韓国文学の翻訳書9冊を出版した。
女性作家、韓江(ハン・ガン)の短編集「菜食主義者」は出版後、朝日新聞の書評で「一気に心を持っていかれてしまった」と評されるなど各メディアで好評を受け、日本図書館協会の選定図書にも選ばれた。
(中略)
来月には男性作家、キム・ヨンスの小説「世界の果ての女友達」(原題)を出版する予定を明らかにした。
2000年以降に発表された作品ばかりを取り上げることについて金氏は「2000年以降の韓国文学は以前の世代に比べとても自由。社会的理念などを抜け出し普遍的な世界を描いており、興味深く何よりおもしろいため」と説明した。
しかし当初、同時代の日本の若者に知ってもらいたいと同書を多くの日本の出版社に持ち込んだが、韓国文学はよく分からないという理由で断られたという。
「こんなに良い作品なのになぜと思い諦められなかった。それで一から出版社を立ち上げた」
日本では韓国語を学ぶ人が多く、韓国文学を紹介する環境が整っていると分析する。ただ、「収益事業ではないため難しさがある」として、韓国の出版界や関連機関に支援を訴える。
「私たちが火種をつけ少しずつ韓国文学の市場が広がっている。
(以下、略)
ソース:朝鮮日報日本語版<インタビュー>日本に「韓国文学ブーム起こす」 出版社代表の金承福氏


インターネットで検索すると、「K文学」を紹介するウェッブサイトが幾つか見つかります。それだけ熱心に活動しているのは認めますが、作品の評判はどうなのでしょうか?
上記のウェッブサイトで紹介されている韓国の文学作品はどれも小奇麗な装丁で、かつて「ケータイ小説」ブームの際に見られた本に類似しています
書店で手にとってもらうためには「見た目が大事」なのでしょう
ただ、韓国ドラマはK-POPにはまった人たちが、韓国の文学作品を手に取るとは想像できないのであり(ドラマの原作本とかの企画なら別ですが)、こうした売り込みが実を結ぶとは思えません
日本のコアな文学愛好家を狙うのであれば、「文學界」や「新潮」といった文芸誌にでも掲載させ、読者の批評を仰いではどうかと言いたくなります
もちろん、文芸誌では日本の中堅・若手作家の作品と読み比べられるのであり、そうした批評にたえられない作品は顧みられないのですが
日本の大学には英米文学を専攻するコースは山ほどあれ、韓国文学専攻の専門授業をやっている大学はありません(おそらく)
「韓国文学は学術研究の対象にもならない」とまでは言い切らないにしても、このままでは一部のマニア受けで終わる可能性もあります

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