体罰は必要だとする産経新聞の記事

大阪市立桜宮高校でバスケットボール部のキャプテンが顧問である教師の体罰を苦に自殺した事件で、教育現場における体罰が厳しく問われる風潮が広がり、体罰を振るっていた教師が次々と摘発されています
しかし、産経新聞は一貫して「教育現場には体罰も必要だ」とする論調を掲げ、この体罰禁止の風潮に異議を唱えてきたところです
4月29日付けの記事では、「『先生は何もでけへんやん』と挑発され、教諭は立ち尽くした。大阪市立中学校の校長らで作る研究班が実施した調査で教諭が生徒から暴言を浴びせられる実態が明らかになった。市教委が教諭の“摘発”を強化する中、教諭が指導に踏み込めずに挑発がエスカレートしているとの指摘もある。市立桜宮高校の体罰事件の余波は深刻だ」と、桜宮高校の体罰事件がすべての根源であるかのような書き方になっています
これは自殺した生徒への侮辱でしょう

「先生は何もでけへん」現場の萎縮逆手、生徒の挑発エスカレート 指導に踏み込めない学校の実態

いまさら書くまでもない事実ですが、桜宮高校の体罰事件は教師に反抗した生徒が体罰を受けた事案ではなく、指導力も指導理論もないバスケットボール部顧問が一方的に体罰を加えて部活動を仕切っていた事案であり、上記の記事にあるような「生徒の挑発」とは無関係です
なんでもかんでも桜宮高校の事件のせい、であるかのような書き方は問題です
記事では「体罰という手段を失った教師は生徒からなめられ、教育現場の秩序が失われてしまった」と決めつけたいがためのものであり、短絡的と言わざるを得ません
産経新聞では過去に、「喫煙を繰り返す生徒を教師が殴ったところ、親から『よくやった』と感謝された」と美談であるかのように紹介する記事を掲載し、「教育現場には体罰が必要だ」との主張を提起していました
しかしこれは美談などではなく、喫煙をするこどもを放置していた親は無能ですし、その生徒を殴ることでしか指導できない教師にも問題があります
殴ればそれで問題が解決するとの決め付けは危険であり、そこに指導理論も理念もありません
ですから、殴って解決できるような事案(たとえそれが成功例であったにせよ)がもてはやされ、賞賛されるのは大間違いです
もちろん、教育現場の秩序を乱す生徒や教師を挑発する生徒を許す必要はなく、出席停止などの措置を講じたり、暴行の事実があれば刑事告発もすべきでしょう
むしろこうした問題を、「体罰こそが唯一の解決手段」だと決めつける産経新聞の思考にこそ重大な瑕疵があると思います

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