郵政会社前社長が政府の知らない間に顧問就任

あまり大きく報道されていないニュースですが、気になったので取り上げます日本郵政会社の前社長坂篤郎(財務省OB)は、安倍政権発足直前に野田内閣の主導する人事で同社の社長に就任した人物です
民主党政権は日本郵政の民営化に消極的であり、同社を民営化の体裁を取りつつも郵政族や労組の主張するような公営企業として温存させる方向で動いていました(労働組合と密接な関係がある政党としての判断でしょう)
その象徴が財務省出身の大物官僚斎藤次郎の社長起用であり、後継者としての坂篤郎の社長起用の人事です


日本郵政会社が政府からの要求を突っぱねてまで、顧問に支払っていた報酬の額を隠している理由は何なのでしょうか?
そもそも坂篤郎の顧問就任を民間出身の西室泰三社長は承知していたのかも気になります
おそらくは日本郵政会社の中でも民営化に賛成する勢力と、民営化に反対する勢力があり、反目しあっていると推測されます。民営化反対派は当然、自分たちの主張を会社の方針に反映させるため元社長といった影響力のある人物を顧問に据え、社内に睨みを効かせようとしているのでしょう
郵政民営化については前にも書いたのですが、メディアはその核心部分にある問題に触れようとせず、「郵便を民間に配達させて良いのか?」との疑念を提起したり、「民営化によって合理化が進めば、郵便が届くのを心待ちにしている過疎の村のお年寄りと配達員との心の触れ合いが消えてしまう」といったお涙頂戴のルポを書いたりと、余計な報道を繰り広げていたものです
郵政民営化問題の核心は、郵便貯金や簡易保険で積み上がった資金331兆円を、一部の官僚と自民党郵政族議員が勝手に還元融資という形で地方自治体に貸付け、融資を受けた自治体が小学校の建て替えや公民館の新設をやっているところにあります。これらの還元融資による公共工事を請け負う建設業者はもちろん、郵政族議員と結びついており、持ちつ持たれつの関係にあります
この第二の予算と呼ばれる郵貯や簡保の還元融資は国会で審議されたることもなく、一部の官僚と郵政族議員で配分先が決められるというデタラメぶりでした。これをぶち壊そうとしたのが小泉純一郎の郵政民営化です
しかし、日本のメディアはこの問題を真正面から切り込もうとはせず、「信書であるところの郵便物を民間企業に配達させてよいのか」といった論点にすり替え、報道していたのです
上記のような財務省OBを日本郵政の社長や取締役に据える狙いは、郵政族議員やら一部の官僚、特定郵便局の局長らが従来の利権を守ろうとするところにあるのでしょう
東芝出身の社長が就任したところで、反民営化勢力が会社運営を牛耳っている限り、その体質は容易には変えられないのだと思います

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