作家辺見庸「旭日旗の恐怖はアジアに焼き付いている」

作家の辺見庸が現在の日本がファシズムに飲み込まれつつある、と警鐘を鳴らしているのだとか
辺見庸は鋭敏な感覚で時代の変化を素早く読み取り、警鐘を発し続けてきた作家といえるのかもしれませんが、自分には単なる「オオカミ少年」に映ります
神奈川県新聞に掲載された記事を御覧ください


喉がしきりに渇いた。喫茶店で向き合った辺見庸さんの問いに、即座に答えられずにいた。
「現在は平時か。僕は戦時だと思っています。あなたが平時だと思うなら、反論してください。でないと議論はかみあわない」
安倍晋三政権が集団的自衛権の行使に向け、憲法解釈を変えようとしている。
なりふりかまわぬ手法をどう見るか、そう尋ねた後だった。
「十年一日のようにマスメディアも同じような記事を書いている。大した危機意識はないはずですよ。見ている限りね」。いらだち混じりの口調。低くゆっくりとした声が耳の奥深くに重たく響く。
「日中戦争の始まり、あるいは盧溝橋事件。われわれの親の世代はその時、日常生活が1センチでも変わったかどうか。変わっていないはずです。あれは歴史的瞬間だったが、誰もそれを深く考えようとしなかった。実時間の渦中に『日中戦争はいけない』と認められた人はいたか。当時の新聞が『その通りだ』といって取り上げたでしょうか」
ずっと以前に有事法制は通っている。そして集団的自衛権の憲法解釈の変更への傾斜、秘密保護法案…。「今が戦時という表現は僕は必要だと思う」。辺見さんは念を押した。
〈ファシズムとはいかなる精髄も単独の本質さえない〉イタリアの作家ウンベルト・エーコの言葉を辺見さんは引く。
「日本のファシズムは、必ずしも外部権力によって強制されたものじゃなく、内発的に求めていくことに非常に顕著な特徴がある。職場の日々の仕事がスムーズに進み、どこからもクレームがかからない。みんなで静かに。自分の方からね。別に政府や行政から圧力がかかるわけじゃないのに。メディア自身がそうなっている」
(中略)
クラシックが静かに流れる店内に長い沈黙が続いた。「ガガーッ」というコーヒー豆をひく音に、記者はびくっとした。例外を認めず、従わぬ者を監視し、氏名を集め、報告する社会。
「強制っていうのは身体的強要を伴う。起立させ、歌わせる。人の内面を著しく侵している。これがファシズムでなくてなんですか」
橋下徹大阪市長の従軍慰安婦発言、在日外国人への罵詈雑言、麻生太郎副総理のナチス発言。「無知」で「醜い」ことが立て続けに起きている。
インタビューの最中、辺見さんは何度も「ディストピア」という言葉を口にした。ユートピアの反対語で「暗黒社会」だ。
レイ・ブラッドベリの『華氏451度』、ジョージ・オーウェルの『1984年』などがディストピア小説として知られる。
「華氏451度の世界では、本を読むことが禁止されている。そこで人間が記憶する歴史は数年だ。スポーツが奨励され、深く考えないことも奨励されている。まさに今です」
植民地支配と侵略の責任を認めた「村山談話」の継承を否定してみせた安倍首相の歴史認識。辺見さんは「歴史の修正ではなく、歴史の転覆だ」と言う。
「平和性を自己申告して、千数百万人から2千万人が殺されたアジアの人たちの誰が信用しますか。好戦的な国か、平和な国かは他の国が決めること。旭日旗に対する恐怖は彼らに焼き付いている。相手の恐怖に対する想像力を著しく欠いている」
首相や閣僚、首長の歴史転覆発言。福島第1原発の汚染水が垂れ流される中でのオリンピック誘致の狂騒-。華氏451度の世界そのものだ。
(中略)
インタビューを終え、横浜に戻る。右翼の街宣車が朝鮮学校への補助金を止めるよう、甲高い声でがなり立てる。
野球観戦に向かう家族連れがその横を歩く。飲み屋の明かりに背を向け、痩せこけた白髪の路上生活者が段ボールの上でくの字に体を縮めている。見えて聞こえていたのに、やりすごしていた日常が、突き刺す風景として立ち上ってきた。
取材の2日前、辺見さんは都内で「死刑と新しいファシズム」と題した講演を行っていた。前売り券は売り切れ、聴くことができなかった。
人でありながら人でなく、絶えず監視される死刑囚の状態を「禁中(宮中)と似ている」とし、その内側を知ろうとしないわれわれ。「日本はあらかじめファシズムの国」なのではないか-。
辺見さんはそう語ったと、後日届いたメールで知った。


辺見庸の主張に反論できない記者の、何とも脆弱な心情、知性に呆れます。取材をする前に辺見庸のこれまでの発言や主張をまったく精査もせず、「インタビューを申し込んで手早く1本の記事を書こう」程度の思いで接触したのでしょう
そして喫茶店で辺見庸から畳み掛けられ、反論もできずうろたえてしまったと吐露しているわけです
在日韓国人へのデモはともかく、公の場で中国や韓国を批判するのがタブー視されたつい最近までの日本社会の方が遥かに異常だったと、記者は思わないのでしょうか?
「日本は戦争で迷惑をかけた中国や韓国に配慮し、彼らの横暴を見て見ぬ振りをし、彼らを批判するのは慎まなければならない」というのが数年前までの日本でした
中国や韓国の横暴を暴き、これを堂々と批判したのはインターネットの掲示板「2ちゃんねる」です
一部のメディアはこれを「ネット右翼」と揶揄しますが
なぜそうまでして、日本は中国や韓国に遠慮しなければならないのでしょうか?
歴史問題の前に日本人が屈服し、沈黙すべきだとする中国や韓国の主張が異常なのであり、我々は中国や韓国のロジックに付き合う必要などありません
現代を生きる我々は中国や韓国に対等の立場で発言すべきであって、卑屈な態度を取るべきではないのです
「現在の日本が戦前と似ている」などと発言するのはお笑いネタです。辺見庸は昭和19年生まれであり、戦前の日本を知らない世代に属します
「自由に物が言える社会をファシズムに毒されている」と決め付け、何やら危機的状況にあるかのごとく主張する辺見庸にはうんざりします。もう何十年と警鐘を発し続けているのですから

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