「風立ちぬ」を褒める岡田斗司夫
さて、宮崎駿の思想・信条について先日取り上げたところですが、今日は作品の話をします
20日の公開は全国343館、454スクリーンという規模で行われ、観客動員も好調だったと伝えられています。興行収入予想では「崖の上のポニュ」で記録した155億円を上回る勢いで、「もののけ姫」の193億円に迫ると書いているメディアもあります
1本のアニメーション映画が社会現象と呼べるほどの反響を引き起こすのですから、宮崎駿はやはり怪物なのかもしれません
話題になっている4分間の予告編からも、作品の魅力が伝わってきます
風立ちぬ 劇場予告編4分
とはいえ、最近の宮崎駿の作品がどれも手放しで絶賛されるほど素晴らしいものであったとは思えません
「ハウルの動く城」は後半のストーリー展開が飛躍しすぎており、説明不足のために何がどうなっているのか理解できない観客が大半だったはずです
「千と千尋の神隠し」でも、後半の千尋が電車にのって銭婆の許へ赴くところからまるで別の作品になったかのようにがらりとトーンが変わってしまい(水面の上を列車が走る印象的なシーンであり、映像としては見事なのですが)、戸惑った観客も少なくなかったと考えます
絵コンテの段階で、「これでは話の辻褄が合わない」と誰か指摘してもよさそうなほど重大な問題なのですが、スタジオジブリ内では宮崎駿に直言できる人はいないのでしょう
宮崎作品のストーリー展開の破綻ぶりについて、岡田斗司夫が「最近の作品にろくなものがなかった」と端的に語っています。それゆえに、「風立ちぬ」はストーリーに破綻を感じず名作になっているとの論法です
岡田斗司夫ゼミ#278(2019.4)『風立ちぬ』完全解説~堀越二郎を誘惑する3人の悪魔
あとは映画館へ行き、自分の目で確かめるべきであり、本編を見ないままあれこれ言っても始まりません
最近は漫画を実写化する例が目立ち話題には事欠きませんが、日本の映画作りとしてそれでよいのかと思ってしまいます
逆に本作品のように、実在する人物を軸としてオリジナルのストーリーをアニメーションで表現する力技(5年もかけて)をやってのける宮崎駿の存在が、日本の映画界を支えているように見えます
堀辰雄の小説「風立ちぬ」は過去に2度映画化され、4度テレビドラマ化されています
しかし、戦闘機の設計者である堀越二郎の生涯を堀辰雄の小説「風立ちぬ」に重ねて描き出そうという破天荒な試みをしたのは宮崎駿だけです。この大胆な試みが成功し、1つの作品として昇華されたのであれば日本映画界にとって大きな収穫と言えるでしょう
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