「母さん助けて詐欺」の名称で犯罪を防げるのか?
警視庁が公募していた「振り込め詐欺」に代わる新名称として、「母さん助けて詐欺」なるものが選ばれたと報道されています
警察がこの「母さん助けて詐欺」の呼称を国民に強要するわけではなく、従来の「振り込め詐欺」という呼び名も併用する方針だと言います
「母さん助けて詐欺」のネーミングに賛否両論 ネット上では「共感できない」の声強く 警視庁は「賛否あるのはごもっとも」
記事の中でも説明されていますが、犯行の形が従来の銀行の自動預払機を利用したものから、現金を手渡しする形へと変わってきたため、「振り込め詐欺」の呼称が実態にそぐわないものになってきたという事情が背景にあります
さらに、「オレオレ詐欺」とか「振り込め詐欺」の被害が新聞やテレビのニュースでしばしば取り上げられるものの、被害が一向に減らないという深刻な問題もあり、新たな呼称でより世間にアピールしようとの思惑があるのでしょう
もちろん、「振り込め詐欺」の被害に遭わないよう呼びかける啓発運動が不足しているわけではなく、「自分は簡単に騙されたりはしない」との思い込みがこの種の詐欺事件がなくならない要因だと考えられます
しかしいざ、息子や孫を詐称する電話が自宅にかかってきて、「お金が~」と泣きつかれるところりと騙されてしまうのが毎度のパターンです
「自分は騙されない」と自信満々でも騙されてしまうのは、息子や孫が追い詰められてしまったという状況に直面し、冷静さを失うと共に、「お金で解決できるなら」とその解決手段にすがってしまうがゆえでしょう
こうした詐欺行為をどのような呼称で表現しようとも、息子や孫の危機にパニックを起こし、言われるままお金を払ってしまう構造は不変であり、被害を根絶するのは容易ではありません
冷静に状況を判断し、誰かに相談すれば騙されずに済みそうな話ですが、詐欺師はそんな猶予を与えず、たたみかけるように要求を突きつけてきます
被害防止を呼びかけても、いざという状況に追い込まれると人は自分が騙されていると認識できず、思考停止したまま相手の要求に諾々と従ってしまうわけで、詐欺師の意のままに操られてしまう結果になります
警察は今後の啓発活動を継続していくのでしょうが、人の心のありようまでは変えられないのであり、この種の詐欺をなくすのは不可能とも言えます
それでも手をこまねいているわけにはいきません。新たな呼称でより世間に被害の様相をアピールし、被害に遭う人を1人でも減らす努力を続けるのは当然です
(関連記事)
ネットバンキングを狙った新種ウィルス2万件
ほしのあき 詐欺商法のサクラを告白
オークション詐欺に関わったタレント続々と
オークション詐欺 ほしのあきら立件見送り
有栖川宮を名乗った詐欺師
結婚詐欺師木嶋佳苗 飢渇と欲望
私的な十大ニュース 女結婚詐欺師の偽セレブ生活
結婚詐欺師木嶋佳苗 虚飾と過食の人生
元横綱朝青龍 M資金詐欺で1億円被害
被災地でニセ医者事件 自称救急小児科医
「三井財閥の子孫」と騙した女詐欺師逮捕
実在しない100万ドル札で詐欺 過去にも発生
カラテカ入江 闇営業で解雇処分
法廷で泣く「金儲けのカリスマ」 給付金詐欺の結城世成被告