死刑囚からの手紙 月刊「創」の記事を考える3
月刊誌「創」に掲載された、奈良の幼女殺害事件の犯人小林薫死刑囚と、土浦無差別殺人事件の犯人金川真大死刑囚の手紙について取り上げる記事の第3弾です
今回は金川真大死刑囚の手紙に関する部分を考察します。なお、金川死刑囚については、月刊誌「創」の2つの記事を参照してください
死刑執行! 小林薫死刑囚と金川真大死刑囚からの手紙(『創』2013年4月号より)
金川真大死刑囚から 届いた最後の手紙(『創』2010年3月号より)
金川真大は法廷で尊大な自分を演じ、被害者への謝罪も口にせず、事件の動機は「死刑になりたいから」と答えるのみで、心情を吐露するような姿は見せませんでした
もちろん、それは金川真大が自ら望んで示した態度です
そして2度の精神鑑定についても、「何も分かってなどいない」と蔑む発言をしています
おはこんにちばんはっ!!
裁判は終始、明鏡止水の心境でしたよ。判決内容は、勝手な解釈で成り立ってますよ。奴らは俺の言葉をちゃんと理解できていません。なので、浅い深い云々など論じても意味がないですね。真実は永遠に闇の中です。あなた達は何も解明できていない。あなた達の失敗は、責任能力の有無を調べるために心理学者を二人も寄越してきたが、哲学者を手配しなかったことだと思います。
死刑制度の食い違いって何でしょう? あってもなくても何も変わらんと思うのでどうでもよいですね。控訴は28日に取り下げます。もう会う機会はありません。
天国で再会しましょう。では、さようなら。
2009/12/28 17:13【共同通信】
なぜか心理学者を揶揄して、「哲学者」を求めています
金川真大は哲学者永井均の著作(青少年向けの哲学入門書)を読んでいた、とどこかの記事に書かれており、哲学者に特別な思い入れを抱いていたようです
その部分だけを捉えて、金川真大を「どう生きるべきか、真摯に探求しようとする若者」であるかのように報道するメディアもあったのですが、それは間違った見方でしょう
金川真大は哲学的な思索にふけっていたわけではありませんし、深遠な思想を内に秘めていたわけでもありません
それに、「いかに生きるべきかを考える。それが哲学だ」といった決めつけ方をする人も多いのですが、「いかに生きるべきかを考える」のは倫理学や宗教であり、哲学の範疇ではないのです
以下のサイトで、「金川真大が哲学的な論議を求めていた」とする一部のジャーナリストの報道を徹底的に批判しています
金川真大被告からの手紙
月刊誌「創」の記事は金川真大死刑囚の外側だけを舐め回して、何やら自分だけが重大な事実を掴んでいるとの自己満足に浸っているようにしか見えません
一方で、上記のサイトが金川死刑囚の内面を抉り取っているように映るのは、批評精神の有無による違いでしょう
批評精神もなしに、ただ面会や手紙のやり取りで、「自分は死刑囚の本音を聞き出している」と自惚れるようなジャーナリストに、何かを語れるとは思いません
月刊誌「創」は面会の場で、なぜ金川真大の心を揺さぶるような質問を発しなかったのか、訊いてみたくなります
どのような質問が金川真大の心を揺さぶるのか掴めないまま、面会やら手紙のやり取りをしていた、と映ってしまいます
(関連記事)
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