なりすましウィルス事件 容疑者のいじめられた体験

他人になりすまして犯罪予告を繰り返す、という悪質な犯行により誤認逮捕者が続出したのがいわゆる「なりすましウィルス事件」です
他人のパソコンにウィルスを仕込み利用するのが犯人の手口であり、日本の犯罪史上でも例のないサイバー犯罪として注目を集めました
容疑者としてIT企業に勤務する片山祐輔(30歳)が逮捕されています
片山容疑者は過去にもインターネットを利用した脅迫罪で起訴され、有罪判決を受けているのですが、その当時の裁判で片山容疑者が中学時代に陰湿ないじめを受けていた事実が明らかになった、と産経新聞が記事にしています

(引用元記事が削除されました)

片山容疑者の中学校生活がどのようなものであったのか、記事だけでは詳細が掴めません。同居していた母親も片山容疑者が陰湿ないじめを受けていた事実に気がつかなかったとありますので、ますます不可解です
「殴られたり蹴られたり、のこぎりで頭を切られたりした」と言うのであれば、息子が血を流したり顔にアザを作って帰宅していたはずです
その息子の姿を見て、母親が何も気がつかなかったというのはちょっと信じられません。片山容疑者が人との関わり方に難があったように、母親もコミュニケーション能力に難がある人なのかもしれません
ですが、問題はそこではなく、他人との関わり方に難があったとして、片山容疑者はその改善に努めてきたのかどうかです
インターネットを利用して他人を恫喝する犯罪を繰り返してきた経歴を見るj限り、犯罪で憂さ晴らしをする歪んだ性格のまま、と見て間違いないでしょう
他人と交流する上で必要なのは、相手を慮る能力であり、自らの意見や正当性を主張するだけでは他人と折り合いをつけられず、対立するだけです
結果として、自分の意見を受け入れようとしない他人を恫喝し、貶めるようになってしまうのであり、ますます孤立するだけです
こうした対人関係の能力不足は訓練によってある程度改善できます。片山容疑者も中学生時代に児童相談所や医療機関を介して、訓練を受ける機会は得られたはずです
しかし、いじめの被害を親にも担任教師にも相談できなかったため、その機会を逃してしまったわけです
もちろん、大人になってからでも自ら進んで訓練を受ける余地はあったはずであり、過去の恐喝事件で有罪判決を受けた後、訓練を受けようとはしなかったのでしょうか?
他人と上手くコミュニケーションが取れない欠点を補うべく努力すれば、また別の生き方があったはずです
それをせず、犯罪によって憂さ晴らしをする道を選んだがゆえに、自らを破滅に追い込んでしまったと言えます
今後の裁判で片山容疑者は自らの胸の内を明らかにするのでしょうか?
それとも、「どうせ誰にも分かってもらえない」と決めつけ、何も語らないまま判決を待つのでしょうか?
まだ30歳なのですから自らの生き様を問い、やり直す機会は十分にあります
ただ、本人がそう望んで行動しない限り、何も変わりません
片山被告には懲役8年の実刑判決が言い渡され、確定しています

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