75歳で芥川賞 黒田夏子の受賞作は前衛的な実験小説

毎回の芥川賞、直木賞について当ブログで触れているのですが、今回はあまりに地味な候補者のため興味がわかず、取り上げていませんでした
芥川賞は75歳という高齢の黒田夏子が「abさんご」で受賞しています
芥川賞は新人作家の登竜門ですから、75歳の作家を新人とみなすのかどうかは判断の別れるところです
しかし、その受賞作がおそろしく前衛的な手法で書かれれたものだと報道されており、枯れた老人の退屈な短編小説だろうと決めつけていた自分の浅はかさをを思い知らされました

黒田夏子さんの芥川賞受賞作「abさんご」が異例のヒット……発行14万部に

「全文横書きで平仮名のやまと言葉を多用し、かぎカッコやカタカナ、固有名詞などを一切使わないという日本語の限界に挑んだ実験的な文体」と伝えられていますので、読んでみるしかありません
まだまだ文学の可能性、表現の可能性は尽きないのだな、と感じます
70歳をすぎてもなお、こうした実験的な手法を追究する姿勢にも驚かされます
他方で、評論家の東浩紀が芥川賞を腐った文学賞とこき下ろし、話題になっています
芥川賞の選考に問題があるのは今に始まったものではなく、長い芥川賞の歴史が偏った選考の積み重ねと言えるほどです。それをいまさら「腐った文学賞」だと言ったところで、何の新鮮味もないのですが

東浩紀「芥川賞は閉鎖的で腐った文学賞」 ブランド化の風潮を批判

かつては芥川賞、直木賞の受賞作が大いに話題になり、社会現象を引き起こした事例もあります
文学賞としては腐っていてもたまには収穫があるわけで、まんざら捨てたものではないと思うのですが、どうでしょうか?

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