「欧米のテレビアニメが日本みたいになるには?」との議論

「翻訳冒険活劇」さんのブログで、「海外のアニメファン『欧米のTVアニメーションが日本のアニメみたいに発展するにはどうすればいいんだろう?』」という議論を翻訳・紹介されていますので、取り上げます

海外のアニメファン「欧米のTVアニメーションが日本のアニメみたいに発展するにはどうすればいいんだろう?」

日本のテレビアニメーションのように、次から次へと多種多様な作品が生まれてくる状況は、海外のアニメーションファンにとって驚異なのでしょう
彼らが住み暮らす国でもそうあってほしいとの願望がこの議論をさせる背景にあるわけですが、議論の方向は「そんなの無理」という諦めへと向かっています
問題は日本のテレビアニメーションのような作品を手がける作業環境が欧米に存在するのか、存在するとしてもビジネスとして成り立つのか、というところにあるのでしょう
ビジネスモデルの構築云々は自分の興味対象から外れるため、割愛します
ここは、「日本のテレビアニメーションのような多様な作品を欧米で作れるか?」に絞って書くことにします
欧米でも脚本やキャラクターデザイン、原画だけを手がけ、動画作りは中国や韓国の下請けに回すやり方を踏襲するはずなので、大規模なスタジオを構えたり、大勢のアニメーターを抱える必要はないのであり、決して実現不可能だとは思えません
それでも欧米から面白い作品が生まれそうな予感がしないのは、やはり文化総体の違いなのでしょう
つまり日本のように数多くの少年向けマンガ、少女マンガ、ライトノベル、特撮ヒーローモノなどからなる分厚いサブカルチャーの層が形成されている国と、そうではない国との違いです
現在放送されているテレビアニメ「絶園のテンペスト」のような、シェークスピアの「ハムレット」と「テンペスト」を下敷きにした物語を、欧米で作れるとは思えません
シェークスピアの劇は、当然欧米で馴染み深いものですが、これを現代社会に翻案してアニメ化しようなどと、考えもしないでしょう
しかし、欧米から遠く離れた、極東の島国である日本だけがそれを可能とし、実現してみせるのです
そこに特別な秘術があるわけでもなく、面白い物語を編み出したいとの情熱と豊な創造力、過去の膨大な作品によって培われた経験がすべてです
文学や演劇の伝統を抱える欧米ですから、シェークスピア作品を翻案するのは簡単のように思えるのですが、さまざまな制約があるのでしょう
少年少女を残酷な戦闘に投入した挙句、無残な死を迎えるといったストーリーをアニメ化するのは、彼らを束縛する倫理からして無理なのかもしれません
もちろん「ナルト」にしても「ワンピース」にしても、無残な殺し合いを描こうとする作品ではなく、その向こう側を目指そうとする人間の苦悩や葛藤を丁寧に表現しようとする作品です
言うまでもありませんが、欧米から鑑賞に値するようなテレビアニメーションが生まれるのは大いに結構な話であり、日本のアニメーションが脅かされるか言って警戒する必要など感じません

(関連記事)
「魔女の宅急便」実写化の賛否
中国が本気で作った3Dアニメ「三国演義」
ディズニー・アニメ「シュガー・ラッシュ」は友情、努力、勝利!
「中国のギャグアニメが人気」も、中身は日本式ギャグ連発 
ディズニーの短編アニメ「Paperman」を絶賛する声
中国のボーカロイドアニメ化 その後進展なし?
中国が最新兵器を萌えキャラ化
「攻殻機動隊」新シリーズ起動
「大衆文化の日韓戦争」と煽る韓国メディア
韓国メディア「レ・ミゼラブルは親日ニダ」と騒ぐ
「日本アニメはディズニーを目指せ」という無茶な提言
「日本アニメは文化侵略だ」と書く産経新聞
二頭身キャラが暴れまくる中国アニメ「果宝特攻」
格闘シーンがダサい中国の人気アニメ「如意兔之紅晶石」
日本よ驚嘆せよ 中国劇場版アニメ「魁拔」の続編公開へ
泣けるアニメ「フランダースの犬」 海外の反応
DVD化されない幻の人気アニメ「ムーミン」
中国メディアの陳腐な論評「日本アニメ、人気の秘密は民族文化」
史上もっとも大コケした映画「ファイナルファンタジー」
日本のアニメは暴力的で卑猥と批判する中国
「悪者が味方になる日本アニメ」を評価する中国メディア


日本はアニメで再興する クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146)
アスキー・メディアワークス
櫻井 孝昌

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 日本はアニメで再興する クルマと家電が外貨を稼ぐ時代は終わった (アスキー新書 146) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのトラックバック