舞鶴女子高生殺害事件を考える4 高裁で無罪判決

平成20年5月に京都府舞鶴市で女子高生が殺害された事件で、一審京都地裁は中勝美被告に無期懲役の判決を言い渡していました
しかし、今年12月控訴審である大阪高等裁判所は、「目撃者の証言は変遷している。防犯カメラの映像は中勝美被告以外の別人が映っている可能性を否定できない。被害者が所持していたポーチに関する被告の証言は、犯人しか知らない秘密の暴露ではなく捜査機関が誘導した可能性がある」と理由を挙げた上で無罪判決を言い渡しました


「ありがとうございます」「悔しくて納得できない」。2つの涙が法廷で交錯した。京都府舞鶴市の高1女子殺害事件で殺人などの罪に問われ、1審京都地裁が無期懲役を宣告していた中勝美さん(64)に対し、大阪高裁は12日、逆転無罪を言い渡した。捜査段階から一貫して「でたらめだ」と無罪を主張していた中さんは両手で顔を覆って涙をこぼし、有罪を信じていた遺族は泣き崩れた。高裁判決は、1審が認めた検察側の間接証拠をことごとく否定し「捜査機関の誘導の可能性」とまで指摘した。有罪を信じて疑わなかった京都府警の幹部が「被告を社会に出すことがあってはならない」と“警告”する中、遺族感情からも検察側は上告を検討。だが、間接証拠だけで有罪を導く立証のハードルは高い。
「母親が犯人」と発言したことも
「無罪か!」
その瞬間、法廷はどよめきに包まれ、報道陣は慌ただしく出口に殺到した。
12日午前10時35分過ぎ、大阪高裁1001号法廷に、グレーのジャンパーとスエット姿の中さんが入廷した。証言台の前に立つと、川合(かわあい)昌幸裁判長がゆっくりと口を開く。
「1審判決を破棄する」
数秒の間があり、裁判長は「被告人は無罪」と続けた。
法廷の喧噪をよそに、中さんは主文を聞くと裁判長に一礼。肩を震わせながら「ありがとうございました」と話した。
中さんは平成20年5月7日未明に舞鶴市内の雑木林で、帰宅途中に出会った府立高校1年、小杉美穂さん=当時(15)=にわいせつな行為をし、顔などを多数回殴って殺害したとして、殺人などの罪に問われた。1審は検察側の主張をほぼ認容し無期懲役を宣告。無罪主張の弁護側、死刑求刑だった検察側の双方が控訴し、大阪高裁で審理が続いていた。
「警察には真犯人が(別に)いると言った」
「被害者の遺体は見たこともない」
1審で有罪が言い渡されると大声で何度も「裁判長、私は無罪です」と叫んでいた中さん。控訴審でも再び、激しく検察側に反論していた。
証拠関係についても、
「はっきり分からないので嘘をついた。私の間違い」「警察がしつこくて、暴言も吐かれたから、適当に勝手なことを言った」
と捜査機関に迎合したことを明かした。無罪を主張するあまり、控訴審第5回公判では突然、書面を手にしながら、検察官の隣に小杉さんの母親(42)が座っている中で、
「母親が犯人」
と発言して裁判長に「着席して! それ以上発言しないように」と諭されたことさえあった。
(産経新聞の記事から引用)


この事件については既に何度か言及してきたのですが、中勝美被告という人物を簡単に紹介しておきます
中勝美被告は少年時代、恐喝事件を起こして少年院に収容のを始めとして、過去には2人を殺す殺人事件で刑務所に入り、出所後も強姦未遂事件を起こしています。本件の起きた平成20年には、中被告は生活保護を受けて公営住宅に住んでいました。
日頃からバールを持ち歩き、神社の賽銭箱を壊して金を盗んでいる不気味な人物と近所では噂されており、警察は中被告を賽銭盗と下着泥棒の容疑で逮捕しています。いわゆる別件逮捕であり、狙いは本件の女子高生殺害事件の容疑者として取り調べるためだったのでしょう
これ以外にも、7年前に舞鶴市で女子高生が殺害される事件があり、未解決のままに終わっています
本件にしろ、上記の未解決の事件にしろ、偶然中勝美被告の身の回りで殺人事件が起きたとは考えらません。真っ先に関与が疑われるのも当然と言えるほど問題のある人物なのです
以前にも当ブログで書いたように、この事件を「善良な市民がある日突然、殺人事件の犯人として逮捕され、警察の強引が取り調べを受けた冤罪事件」であるかのように語るのは間違いです
また、過去に2人を殺害する事件を起こしながらも懲役14年という、現在の基準では考えられないほど甘い判決を受けた中勝美被告が警察や裁判所を舐めきっているのは明らかで、ここまで社会に害悪をなす人物を無罪にする大阪高等裁判所の判断は大いに疑問です
「疑わしきは被告人の利益に」という法理を絶対の基準にするのは止めて、「被告しか犯人はいない」と合理的に判断できるのであれば有罪を言い渡すケースがあってもよいのではないか、と想います
犯罪者を利するような法理は間違いでしょう
大阪高等裁判所は目撃証言が変遷しており信用できないと退けているのですが、公判で中勝美被告の証言の方も二転三転しており、無罪だとの主張も信用できるものではありません
中勝美被告は法廷で、被害者である小杉美穂さんの母親の名前を叫んで、「真犯人だ」と名指すという、被害者遺族の心情を踏みにじる真似をしています

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