「安倍政権」誕生を畏怖する韓国メディア: 夾竹桃日記

2012年11月26日

「安倍政権」誕生を畏怖する韓国メディア

自民党の安倍晋三総裁が今度の衆議院選挙の結果、政権の座につく可能性が高いと見られていますが、それに不快感を示しているのが韓国のメディアですフィナンシャル・タイムズの韓国版には「安倍晋三はA級戦犯岸信介の孫である」として、あたかも危険人物であるかのように警戒する記事が載っています

元記事は韓国語であるため、いつものようにインターネットの掲示板「２ちゃんねる」に貼られた蚯蚓記者の翻訳を引用・紹介します

岸信介は1932年、日本が満州にたてた傀儡国の最高位級官僚で「満州国は私が描いた作品」と豪語するほどだった。その時、岸は関東軍憲兵隊司令官出身の東条英機将軍と身近に接した。

東条が戦時内閣の総理になるとすぐに岸は商工大臣に任命された。戦後日本を占領した米軍は東条をA級戦犯として処刑したが、岸は不死鳥のように生き残った。岸もやはりA級戦犯として3年間収監されたがソ連と冷戦を広げながらアジアの共産化ドミノに戦々恐々とした米国は岸を別に使うことにした。

1955年、岸の民主党は吉田茂が率いる自由党が合同し自由民主党が誕生する。自民党出身初の総理は吉田でそのバトンを受け継いだのが岸だ。岸は総理在職(1957～1960年)中、米日安保条約を土台に日本再建にまい進した。中国侵略の元凶、第二次世界大戦のA級戦犯が日本の復興を陣頭指揮したのだ。

4年後、総理は佐藤栄作(在任1964～1972年)に移る。岸と佐藤は兄弟だ。ただし、兄の岸が幼い時、岸一族に養子に入って名前の佐藤信介を岸信介に変えただけだ。岸はまさに現自民党総裁の安倍晋三の母方の祖父だ。当然、佐藤は安倍の母方の大叔父になる。その血はどこへ行くのだろうか。

安倍は去る2006年に戦後最年少(当時52才)総理に就任する。閣僚らの相次ぐスキャンダルと本人の健康悪化で1年しか在任できなかったが、彼はかなり多くの語録を残した。慰安婦強制連行を公開的に否認したのが代表的だ。進んで強制性を認めた河野談話(1993年)を修正すると言った。だから去る9月、総裁にカムバックした安倍が極右発言をやたらに吐き出しても驚くことはない。

彼のからだの中には「天皇派」岸の血が流れているからだ。

1930年代、岸が満州国で大活躍していた時、ヨーロッパでは第3帝国をたてたヒットラーがドイツ人らを狂気に追い込んだ。その背景には大恐慌があった。今、世界経済は金融・財政危機で混乱している。日本は20年目のデフレのどん底でもがいている。来月16日、総選挙で予想通り自民党が勝てば安倍が二回目の総理をひきうける。日本の軍国主義復活を心配するのは私だけの過敏反応であろうか。

クァク・インチャン論説室長

ソース：ファイナンシャル・タイムズ(韓国語) 安倍は「天皇派」岸の後えい

韓国では大統領選挙が行われますし、日本でも衆議院選挙があります

両国とも政治が大きく変わる節目を迎えており、それゆえに変化を恐れ、警戒しようとするのは理解できないことではありません

しかし、韓国側がもっとも恐れているのは日帝による侵略、従軍慰安婦とか強制連行といったウソがバレてしまい、これまでのように日本の頭を踏みつけていられなくなる事態に陥るからなのでしょう

さて、あらためて上記の記事を検討してみます

これは橋下徹大阪市長を批判した週刊朝日の、「出自を問題視する」記事と同じ類の、「安倍晋三の出自を問う」記事です

Ａ級戦犯である岸信介の孫だから、安倍晋三も犯罪者であり首相に相応しくない危険な人物だ、と言いたいがための内容です

さらにヒトラーまで持ち出し、日本が太平洋戦争前の軍国主義に戻るかのような話を展開させ、「日本の軍国主義復活を心配するのは私だけの過敏反応であろうか」と結んでいます。そんな心配をするのは韓国人だけでしょう

現在の日本で軍国主義なるものを唱えたところで、国民は誰も喜びません

軍隊に入って栄達を目指そうとする若者もいないのであり、現実味に欠ける話です

そんな現実を検討もせず、「日本で安倍晋三が首相になれば軍国主義が復活する」と発言するのは、あまりに稚拙な発想です