ジャーナリスト増田明美「復興優先」のコラムに思う

かつてマラソン選手として活躍し、その後スポーツジャーナリストとして活動している増田明美が産経新聞に「政策、分かりやすさ第一に」と題したコラムを寄せています
東北地方の復興を願う思いが十分に伝わってくる内容です。しかし、「選挙では政策の分かりさすさが第一」とする考えには大いに違和感をおぼえます

(引用元の記事が削除されました)

コラムの中で増田明美は、「極端な例だが」と前置きしつつ、「『全国の新規の公共工事を半分にして、除染をはじめとする復興に集中投資する』というような思い切った政策を掲げる政党はないのだろうか」と書いています
が、これは随分と現実味を欠いた話です。分かりやすければ極端な主張の方が有権者に伝わる、との考えははなはだ危険なものと言わざるを得ません
政府は震災からの復興のため、2012年度には14兆9000億円もの巨額な予算を割り振っています。しかし、そのうち4割が執行されず宙に浮いているとの指摘があります
復興のための工事をやろうにも、地権者との調整や施工業者の手配、資材の調達などなど、さまざまな準備が立ちはだかり工事が進まない現状があります
そのような現実の制約を無視し、「全国の公共工事を半分にして、東北復興を優先させろ」と言うのは暴論でしょう。実現できない工事が増えるだけです
東北地方の復興は重要な課題ですが、だからといって他の地域を後回しにすれば国民の間からさまざまな不満が出るのは当然です
政治とはこのように複雑な利害を調整する役割であり、決して「分かりやすい」ものではないのです
これを無理やり「分かりやすく」説明しようとすれば、多くの論点・争点を切り捨て、政策を単純なものとして説明するしかありません。それは単なる誤魔化しです
「分かりやすい」のが一番だと思うのは、あまりに危険が考えです
当然、マニフェストなどというお題目も信用できないのは民主党の行動が証明しています。選挙のため、政党はさまざまなおいしい約束を国民の前に並べるのですが、実現の可能性があるかどうかは国民自身が判断しなければなりません
民主党がやってきた数々のバラマキ政策では何の問題も解決しないのであり、それを「分かりやすいから」と歓迎した結果が今の現状です
東北の復興は10年がかりの大事業であり、粘り強く進めるしかありません(時間がかかるのを当たり前として受け入れるしかありません)
人と予算を集中すればすぐに実現できる、と考えるのはあまりに単純ですし、そんな政策を掲げる政党は信用できないのです

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