3歳児殺害の山口芳寛被告に無期懲役
光市母子殺害事件の再審請求について、先日取り上げました。再審の狙いは事件を強姦目的の計画的な殺人と認定した判決を覆そうというものです。あくまで偶発的な傷害事件であり、結果として死なせてしまったものだというのが死刑囚福田孝行(現在は大月姓)と弁護団の主張です。傷害致死罪の場合、最高刑は死刑ではないからです
さて、2011年3月、熊本のスーパーに家族と買い物に来ていた3歳の幼児がトイレへ1人で向かい、20歳の大学生に殺害され川に遺棄されるという事件がありました。山口芳寛被告は3歳の女の子の首を圧迫して殺害し、所持していたリュックサックに遺体を入れ、運びだしたのです
10月29日に熊本地裁で判決公判があり、山口被告に無期懲役の刑が言い渡されています
3歳児殺害の山口芳寛に無期懲役「死刑でなかったが、娘には重い刑と報告」
この事件では山口被告も殺意を否定し、裁判の争点になりました。山口被告はわいせつ目的で女の子を誘拐しようと企て、大きなリックサックを持って事件現場となったスーパーで3時間もトイレに出たり入ったりを繰り返していたそうです
3歳の女の子に狙いをつけ、首を圧迫して気を失わせようとしたのかどうかは不明ですが殺害してしまったのであり、「殺す気はなかった」と主張していたものの、裁判官は殺人罪を適用しています(被害者遺族は死刑を求めていましたが、被害者が1人であるため、検察の求刑は無期懲役でした)
被害者遺族の無念、辛さは上記の記事に書かれたとおりでしょう
ただ、テリー伊藤のコメントの中身、「心ちゃんはあんな残酷な殺され方をしても無期懲役。無期といっても実際に何年いるかわからない。知らないうちに出てきている可能性もある。そういう状況に置かれていると思うとやるせないと思う。終身刑みたいな形で死ぬまで反省してほしいと思うんじゃないですかねえ」は相変わらずトンチンカンです
無期懲役の受刑者の服役期間が平均で31年10ケ月だと法務省が公表しています。例外的に早期に仮釈放になるケースはありますが、あくまで例外です
テリー伊藤が何を根拠に発言しているのかは不明であり、単なる思い込みだけでコメントするのは控えるべきでしょう
テリー伊藤ではありませんが、「無期懲役でも実際には10~15年程度で仮釈放になる」と、でたらめなコメントをする人間がいます
平成17年以降、厳罰化を求める世間の声を反映してか、無期懲役の受刑者で服役期間20年未満で仮釈放となったケースはほとんどない(あっても年に1件か2件)という状態です
また、最近10年間で獄死した無期懲役受刑者は120人に達し、危篤状態だからといって簡単に仮釈放されない事実もワイドショーのコメンテーターたちは知っておくべきでしょう。事実を知らず、知ったかぶりのコメントを連発するのは恥ずかしい限りです
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