光市母子殺害事件で福田死刑囚が再審請求

最高裁で死刑判決が確定した光市母子殺害事件ですが、被告だった福田孝行(現在は支援者であるキリスト教関係者と養子縁組し、大月姓)の弁護団が再審請求を行うと報道されています
再審請求は刑事被告人の権利なのでこれを否定するつもりはありません。しかし、福田死刑囚や弁護団が不服を唱えれば唱えるほど、世間の反応は冷たくなるばかりでしょう
弁護側は新たな精神鑑定書、心理鑑定書、新証拠を出す方針と報じられています。しかし、どれだけ精神鑑定を繰り返したところで、死刑判決を覆すのは困難でしょう
余談ですが、この事件に関して福田死刑囚による強姦殺人説を否定する精神鑑定結果を示したのが関西学院大学教授野田正彰です
野田教授はテレビ番組の取材に応じた際、「(事件の捜査資料は)面倒なので読まなかった」と発言し、それが報道された結果名誉を毀損されたとして日本テレビを相手に1100万円の損害賠償を求める訴えを起こしています
しかし、一審の大阪地裁、二審の大阪高裁とも野田教授の訴えを退ける判決を出しています
野田教授の精神鑑定の骨子は以下の様な内容でした


被害児を天袋に置いた後、呆然として押し入れに柱にもたれかかっていた。その時、初めて自分のペニスが勃起しているのに気付いた。自分はもう終わりだ、だが、セックスしたことがない、続いて●●子母さんと一体となろうとした記憶が重なる。●●子母さんの期待に応えて、自分に似た子どもが作れるか、セックスできるか、自信がなかったことなどがぼんやり浮かんでくる。さらに子どもを作ることのできる精子なら、女性を生き返らせることができるという、マンガで読んだ思考が浮かんできた。そこで、被告人はペニスを入れようとした。
強姦という極めて暴力的な性交は、一般的に性経験のある者の行為である。被告人のように性交体験がなく、これまでに性体験を強く望んで行動していたこともない少年が、突然、計画的な強姦に駆り立てられるとは考えにくい。当初より強姦目的にしているなら、●●子母さんのことを思い出すというのは、不自然である。一般的に母親のイメージは男性の性行為に抑制的に働きやすい。被虐待者の外傷体験を媒介して死んだ女性の性器に自分のペニスを入れるという行為を導いているようだ。


この精神鑑定結果を元に弁護団は、「被害者に対する姦淫は、母親の復活への儀式であった」との主張を展開しています
精神分析の側からすれば、この精神鑑定の筋は決して荒唐無稽なものではありません。ただ、上記の鑑定の中でセックス経験のない福田被告が計画的に強姦を企てたことを不自然だ、と否定しているのは不可解です
セックス経験がない人間だからこそ、頭の中であれこれ妄想し、強姦に至るまでのストーリーを描いて快楽に浸ろうとするわけで
むしろ、計画的な犯行であったものの、強姦する前に被害者を殺害してしまったため、死後に姦淫したと説明した方が辻褄が合います
福田死刑囚にとって、女性と合意の上でのセックスは最初から目的ではなく、あくまで暴力的に女性を犯すのが狙いだった(そうした暴力とセックスの入り混じった幻想が彼の中にあり、犯行へと駆り立てた)、と自分は考えます

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