自己啓発書に映し出される現代人の「心」
「プレジデント・オン・ライン」に「ポスト『ゼロ年代』の自己啓発書と社会」という連載があります
なぜそこまで自己啓発書に執着するのか、さっぱり理解できません。その連載の最新の記事は、自己啓発書がここ10年ほどの間に現代人の心をどう取り上げるようになったのかを俯瞰しようという内容です
自己啓発書に映し出される現代人の「心」
ここでの自己啓発書とはいわゆるビジネス書、あるいはサラリーマンの処世術を取り上げた本を指します。仕事術、発想法、蓄財術、対人交渉術なども含みます
そして上記の記事によれば、1997年のスティーブン・コヴィー著「7つの習慣 成功には原則があった!」(キングベアー出版)のヒット以降、「自分を変える」ことをテーマにした本が注目されるようになった、と書いています
そして「自分を変える」=「心を理解する」というテーマが自己啓発書の中で重視されるようになったと説明します
さて、「人もの」という表現をここまで使ってきましたが、近年におけるそうしたビジネス書、より広く言って自己啓発書の多くがその取り扱い対象とするのは、より具体的には人間の「心」だということができます。「心」という言葉は非常に厄介で、感情(気持ち)、態度(考え方、物事の受け止め方)、行動、習慣など、さまざまな意味がその中に投げ込まれてしまいます。しかしだからこそ、「心」というマジックワードの中に、どのような意味が投げ込まれているのかを読み解くことで、今日の世の中がみえてくると私は考えています。
果たしてそうなのでしょうか?
自己啓発書の中から「今日の世の中がみえてくる」のでしょうか?
そこに見えてくるのはあくまでも自己啓発書が規定した「世の中」であり、現実の社会とは別もののように思うのですが
先日、当ブログでは「ドラえもん」からリーダーシップを論じようという企てを批判したところです
誰もが知っているマンガやアニメを題材にしてリーダーシップを論じるのはお手軽な方法ではあるものの、決して感心はしません
現代人の心を問うなら自己啓発本などではなくもっと適した題材があるわけで、そちらを俎上に載せるべきでしょう
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