ケンタッキーおじさんの壮絶な人生
ケンタッキーフライドチキンの創業者、カーネル・サンダースといえば、自分などは村上春樹の小説「海辺のカフカ」に登場するポン引きのおじさんを思い浮かべます。なかなか洒脱な人物として描かれていました
さて、雑誌「ダ・ヴィンチ」が一大ファーストフードチェーンを作り上げたカーネル・サンダースの商魂について触れた本、中野明著「カーネル・サンダースの教え 人生は何度でも勝負できる!」(朝日新聞出版)を紹介しています
カーネルおじさんの壮絶転職人生! その商魂を学ぶ
当時のアメリカでは男子は家を出て自立、自活するのが当たり前との考えがあったようで、いつまでも両親と同居している男性はだらしがない、自立心が足りないと見なされたようです
記事によればカーネル・サンダース13歳で家を出て、農場の手伝い→ペンキ塗り→再び農場の手伝い→路面電車の車掌→軍隊入隊→鍛冶屋見習い→機関車の灰さらい→機関士→弁護士実習生→保線作業員→保険会社のセールスマンを経験したとあり、なかなか波乱に富んだ青春時代を過ごしたのが分かります
転職のコンサルタントが見れば、職業の選択に一貫性がなく、キャリア形成という基本的な視点が欠けていると批判するでしょう
それでも職種としては鉄道関係の仕事が目立つのですが、心から鉄道マンになりたいと思っていたのかもしれません。まあ、単に求人があったので働いた、という可能性もありますが
セールスマンとして成功をおさめた事実からすれば、鉄道の機関士に適性があったとは考えにくいわけで
そして65歳にしてフライドチキンで事業を起こし成功するのすから、タフでありながら柔軟な発想ができる人物だったのでしょう
朝から喫茶店のモーニングに並び、ゲートボールをする以外にやることがない日本のお年寄りとは違います
アメリカの実業家の評伝は多数出版されており、自分もかなり読みました
そこで気がつくのは、事業を成功させ莫大な富を手にした人物が大学を創設したり、研究施設に多額の寄付をしている事実です
石油成金のロックフェラーはシカゴ大学の設立に尽力しました。シカゴ大学からは数多くのノーベル賞受賞者が出ています
鉄鋼王のカーネギーは財団を設立し、天文台の建設や大学図書館の設立のため多額の寄付をしています
アメリカの科学力がこうした実業家の寄付(節税目的とか、功名心のためとか、いろいろな思惑があるにせよ)に支えらてきた、というのも事実でしょう
他方で、携帯のカメラで女性のスカートの中を隠し撮りして逮捕されるという、晩節を自ら汚す経済人もいるわけですが
(関連記事)
日本IBM元社長が盗撮で逮捕
カリスマ経営者と呼ぶにふさわしいスティーブ・ジョブズ
東電社長記者会見 切れたら負け
4人死亡の「焼肉酒家えびす」社長 土下座
「ウォール街デモ日本上陸!」もその後は行方不明
村上春樹論