秋葉原17人殺傷事件を考える18 控訴審で死刑判決
平成20年6月8日東京・秋葉原で起きた無差別大量殺人で、一審の東京地方裁判所で死刑判決を受けていた加藤智大被告の控訴審判決があり、一審の判断通り死刑の判断が下されています
控訴理由は、「犯行状況の記憶に欠落があることなどから、『何らかの精神障害で心神喪失か耗弱(こうじゃく)だった疑いがある』」というものでした
犯行時、著しい興奮状態にあったとすれば記憶が飛んでしまったとか、頭が真っ白になって何も覚えていない、といったケースも考えられるだけに、精神障害を口実にするのは理解できません
控訴が加藤被告の意向なのか弁護人の意向かは不明ですが、いまでも加藤被告は自身の引き起こした陰惨な事件とは向きあおうともせず、自身の責任についても考えないまま、逃げ続けているだけなのかもしれません
東京・秋葉原で2008年6月、7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大被告(29)の控訴審判決が12日、東京高裁であった。飯田喜信裁判長は加藤被告の完全責任能力を認めたうえで「冷酷で残虐な犯行で、結果はあまりに重大。社会に大きな恐怖を与えた」とし、一審・東京地裁の死刑判決を支持、被告側の控訴を棄却した。
弁護人は閉廷後「被告と相談して上告するかどうか決める」と話した。加藤被告は判決公判を含む計3回の控訴審公判に全て出廷しなかった。
一審に続き争点となった犯行時の責任能力の程度について、飯田裁判長は「精神障害の存在を示唆するものは認められず、犯行の準備など計画に従い一貫した行動をとっている」と指摘。弁護側の「事件当時、被告は心神耗弱か心神喪失状態だった」との主張を退け、完全責任能力を認めた。
動機については、携帯電話の掲示板サイトでの嫌がらせに不満を募らせ、「嫌がらせ行為をした者に重大な結果をもたらすことをわからせようとした」と認定。その上で「全く無関係な被害者らを無差別に犠牲にして自己の意思を伝えようという発想自体、身勝手極まりない」と指弾した。
母親の幼少期の不適切な養育が事件の遠因とされることや、一審の終盤で被告が反省の態度を示した点は認めたものの「事件は結局、被告が自らの意思で決断した」と指摘。「遺族や被害者の処罰感情は峻烈(しゅんれつ)で罪責は重大。死刑を避けるべき特段の事情は見いだせない」と結論付けた。
一、二審判決によると、加藤被告は08年6月8日、秋葉原の休日の歩行者天国にトラックで突入。トラックではねたり、ダガーナイフで刺したりして通行人らを殺傷した。
(日本経済新聞の記事から引用)
控訴審に被告人が出廷する義務はないのですが、加藤被告の欠席に被害者遺族の怒りが爆発し、意見陳述では加藤被告を非難する発言が相次いだようです
「親、仕事、犯した過ちから逃げるのはいい加減に止めてください」という、法廷に出席できなかった遺族の陳述書を裁判官が法廷で代読しているのですが、加藤被告の心の中には届かないのでしょう
実に虚しい裁判です
さて、この事件が起きたとき、「派遣切りに遭った若者が行き場のない怒りを表明したもの」だと決めつける報道がされ、数々のジャーナリストや評論家が非正規労働、格差社会の線で事件を語ろうとしました
しかし、加藤智大被告の犯行の動機は派遣切りで絶望したからではないと判明し、「怒れる若者の代表」と加藤智大を持ち上げていた人間は退散してしまいます
その1人、雨宮凛がこの事件の一審東京地裁判決後にブログで所感を述べていますので紹介します
「秋葉原事件 加藤智大の軌跡」の巻
上記の記事の中で、「加藤は、リアルな他者と『本音の関係』を構築したかった。自分の思っていることを率直に吐露しても、それをしっかりと受け止め、本当の自分を承認してくれる他者がほしかった。しかし、彼には本音を吐くことがどうしてもできなかった」とあるのは北海道大学准教授で政治学者の中島岳史の著書からの引用ですが、この説明で雨宮凛は事件を理解できたと感じたそうです
自分にはまったく見当はずれの識見に映るのですが
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