中国掲示板 「日本のアニメ復讐譚がないからつまらない」

サーチナの配信記事で、「日本のアニメでは復讐が完遂されるものがないのはなぜか?」という話題が取り上げられています

日本のアニメでは復讐が成功しないと感じる中国オタク


「復讐を誓う」「復讐を遂げる」というのは古今東西の物語において珍しくないテーマだと思われますが、中国オタクの感覚では「日本のアニメや漫画における復讐」ということの扱いに関してちょっと疑問を感じるようです
「日本のアニメ」という大雑把な括りで意見を述べているだけで、議論にすらなっていないのですから、これを論評するのも虚しい気がします
まあ、それでもせっかくのネタですから私見を述べます
お気づきのように、復讐を題材にした日本のアニメは数多く存在しており、単に中国のアニメファンがそうした作品を知らないだけと言えます
そこで話を終わらせたのではブログで取り上げる意味がありません
例えば「北斗の拳」も、スタート時点では恋人ユリアを奪われたケンシロウの復讐譚です。宿敵を倒してユリアを取り戻せば復讐は完遂するわけですが、それだけでシリーズは完結せず、ラオウとの闘いへと発展します
個人的な復讐よりもっと大きな目的、戦う理由がそこには存在するわけです
しかし、中国のアニメファンはあくまでも個人的な復讐譚が好みであり、それを求めているように感じます
確かに「復讐など虚しいものだ」とする考えが日本にはあるのですが、そうした悟りすました境地から、個人的な復讐譚の制作を避けてきたとは断定できません
やはり多くの視聴者を惹きつけるには個人的な復讐ではなく、もっと大きな目的や大義名分のもとにストーリーを展開すべきだ、との考えがあるのでしょう
その多くは「世界を救うため」の闘いに昇華されます
もっとも、それだけではないのかもしれません
個人的に復讐を題材としたアニメとして思い浮かぶのは手塚治虫の「どろろ」です妖怪に体を奪われた百鬼丸が、次々と妖怪を倒し奪われた体を取り戻す物語であり、アニメーションは1969年に放送されました
こども向けとしてはかなり陰惨な内容であり、評判も悪かったようです
しかし、百鬼丸が妖怪を倒して失われた体の部位を取り戻すたび、人間らしい感情を取り戻して成長する様子が描かれ、単なる復讐譚を超えた手塚治虫の世界観が反映されていたように思います
原作の漫画も手塚治虫の手によるのですが、こちらはアニメーションほどストーリーに整合性がないグタグタな内容で、復刻されたコミックを読んでもアニメ版のような感慨は得られません。別物と言えるほど違います
以上からすると、日本のアニメーションの歴史では1969年の「どろろ」において復讐譚を超えた物語がすでに描かれていたと言えます

「どろろ」のパイロットフィルム



単純な復讐だけの物語を日本のアニメーション制作者が避けるようになったのは、1969年の「どろろ」があったからだと断じるつもりはありませんが、少なからず影響があったのではないでしょうか?
もちろん何の根拠もない私見です
中国のアニメファンには、1969年の時点で復讐を超えた先の物語を描こうとした手塚治虫の世界観や人間観は理解できないのかもしれません

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